アメリカン・ルーツの最近の記事

Magic Fire / the Stray Birds

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2016年
進藤むつみのおすすめCD (vol.80)

get "Magic Fire"あたしはこの "Magic Fire" を聴いた時、『見つけた!』って思いました。カントリー・ロックが大好きで、90年台のオルタナ・カントリーや2000年以降のアメリカーナを聴き続けていて、だけど、もっと黎明期のカントリー・ロックそのもののサウンドを奏でているバンドがあるんじゃないか・・・って思っていたんですね。それが、もうあたしのイメージ通りのアルバムに、ついに巡り合えたんです。

繊細でいて大胆な曲に、美しくも力強いハーモニー、乾いた風や太陽を感じさせるサウンドを、ギターやフィドルにマンドリンを持ち替えて、メンバーが交代でヴォーカルをとる。いや、これは70年前後のカントリー・ロックそのものでしょ。作曲やヴォーカルは二人で半々で担当していて、一人が圧倒的リーダーじゃないのも個人的には好ましい。

まあ、彼らについては情報が少なすぎるんですけどね(英語版 Wikipedia のページさえない)。だから、あたしが感じた印象を中心に、彼らのサウンドをお話しさせてもらいたいと思うんです。

Freeze-Frame / the J. Geils Band

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フリーズ・フレイム / J. ガイルズ・バンド 1981年
進藤むつみのおすすめCD (vol.76)

get "Freeze-Frame"the J. Geils Band / the J. Geils Band から続く)

大きな期待を受けながら、迷宮に迷い込んだ the J. Geils Band は、心機一転EMIアメリカに移籍し、Boz Scaggs"Silk Degrees" などを手がけた事で知られる Joe Wissert のプロデュースで "Sanctuary" を発表します。

ここで大きく変わったかといえば、実はそうでもない。ゆったりと余裕を持って演奏しているように聴こえるのは、ライヴとスタジオの違いを今まで以上に意識しただけでしょう。ギター・サウンドをベースにしたR&B色の強いロックン・ロールというのも変わらない。だけど Wissert のプロデュースに触れられたのが大きい。久々にゴールド・ディスクを獲得 (全米49位) した以上に、彼等の手応えは大きかったんだと思います。

翌80年、その経験を生かして、今度はメンバーの Seth Justman のプロデュースで "Love Stinks" (全米18位) をリリース。派手なギターがベースなのは変わらなくても、シンセサイザーが前面に出ることが多くなり、サウンドの印象は大きく変わりました。これが、古くからのファンの反発を呼び、『売るために超えてはいけなりラインを超えてしまった』と言われることになります。


しかし、そのサウンドを押し進めて発表されたのが、この "Freeze-Frame" でした。後述する "Centerfold" のヒットもあり、全米No.1を記録しました。

the J. Geils Band / the J. Geils Band

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デビュー! / J. ガイルズ・バンド 1970年
進藤むつみのおすすめCD (vol.75)

get "the J. Geils Band"成功を約束されていたと言っては、言い過ぎでしょうか。だけど、the Butterfield Blues Band 以来の最高の白人ブルース・バンドと呼ばれ、プレイもハートも申し分ない。ブラック・ミュージックの名門アトランティックからデビューを果たし、ローリング・ストーン誌でベスト・ニュー・バンドにも選ばれている。他にこんな話もあるんですよね。

ロックの殿堂的なライヴ・ハウス、フィルモア・イーストに初めて出演した時、オーナーの Bill Graham はこう言って彼らを紹介したそうです。『メイン・アクトにしか興味がなく、このバンドにチャンスを与えてやるだけの忍耐力を持ち合わせていないというお客さんは、申し訳ないが会場から出ていってくれないか?。とりあえず静かにして、このバンドにチャンスをやってほしいんだ』・・・すごい期待の大きさですよね。

そう、約束とまでは言えなくても、誰もがこのバンドに期待していたんだと思います。そんな the J. Geils Band の物語を今日はお話ししたいと思うんです。

Waitin' for George / the Freewheelers

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ウェイティン・フォー・ジョージ / フリー・ホイーラーズ 1996年
進藤むつみのおすすめCD (vol.67)

get "Waitin' for George"訛ってるんですよね。もう、強烈な南部訛り。だけど、あたしはこういうのこそ文化だと思うし、あたしの中に南部への憧れがありますからね。彼等の南部人としての誇りにも感じられて、聴いていて嬉しくなってくるんです。・・・ただ、それでもこれだけ強烈だと、『チョットたいしたものだな』って思っちゃうんですよね。

あっ、ヴォーカルじゃないですよ。the Freewheelers の演奏が訛っているんです。

ギターの音色もそう、ズルズルに引きずったピアノとオルガンもそう、バックアップの女性コーラスもそう。これを南部の音と呼ばなければ、他に当てはまるものなんてないくらいにね。70年代のサザン・ロック、スワンプ・ロックそのものなサウンドに乗せて Luther Russell のダミ声が響く・・・って、やっぱりヴォーカルもそうなのか?(笑)。

実はバンドの情報が少なすぎて、何処の出身かも分からないんですよね。結成がロサンゼルスだって話や、このアルバム以降にリーダーの Luther Russell がオレゴン州のポートランドで活動してる事を思えば、根っからの南部人ではないのかもしれないなって思います。まあ、出身なんてあまり関係ないかもしれません。だって彼等の演奏には、Delaney & BonnieLeon Russell、そして Little Feat と同じような、南部独特のねちっこさと、熱いハートが感じられるんですから。

Amorica / the Black Crowes

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アモリカ / ブラック・クロウズ 1994年
進藤むつみのおすすめCD (vol.65)

get "Amorica"『濃ゆい』アルバムです。もうね、『濃い』なんて言い方なんかじゃ、このアルバムの特徴を伝えられないくらい『濃ゆい』んですよね。音作りの密度の濃さというよりも、ねっとりとしたサウンド。ヴォーカルもギターも、これ以上ないくらいの『濃さ』を醸し出しているんです。

えっ、意味がわからない?。仕方ないな、言い方を変えてみましょうか(笑)。

『熱い』アルバムです。サザン・スタイルのロックやブルージーなサウンドは、熱を感じさせる事が多いと思うんです。曲によっては『乾いたの太陽』の暑さとかね。だけど、このアルバムはそれ以上に、人間の体温の高さを感じさせるような気がします。その熱の高さが、このねっとりとしたサウンドに表れているような気がするんです。

Wildflowers / Tom Petty

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ワイルド・フラワーズ / トム・ペティ 1994年
進藤むつみのおすすめCD (vol.62)

get "Wildflowers"大好きなミュージシャンで、いつも期待に胸を膨らませて新譜を手にするのに、なんかちょっと外されちゃう人っていませんか?。もちろん曲が悪いわけでもない、演奏もいつも通りにドライヴ感がある。いえ、もっと単純にカッコ良さも変わらないんです。それなのに、あたしが聞きたかったサウンドとちょっと違う・・・。あたしにとって Tom Petty & the Heartbreakers は、そんなバンドでした。

初期のストレートなロックン・ロールが、印象的すぎたのでしょうか?。それとも大ヒットした "Damn the Torpedoes" の頃のサウンドを、忘れられないのか?。発売されてすぐに買うじゃないですか。だけど「あれっ?、ちょっと違うな」って思っちゃう。あたしの期待を分かっていて、かわされるような気がしちゃうんです。もっとも彼等は恐ろしく真剣に音楽に取り組んでいるバンドで、自分たちのサウンドを追い求めながら、しかも先達へのリスペクトを表現していたんです。だから、あたしの好みが単純で、音楽に対する知識も少なかったっていう事なんですけどね。

そんな彼等のサウンドが、あたしの期待と見事に一致したのが、93年の "Greatest Hits" に収録されたシングル "Mary Jane's Last Dance" でした。ハーモニカをフィーチャーした強烈に泥臭いサウンドで、あたしはその曲を聴いた瞬間、失礼ながら「なんだ、やれば出来るんじゃない」って思ったんですよね(笑)。そして、翌94年に発売されたこの "Wildflowers" は、強烈にルーツ色を出したアルバムで、あたしがもっとも好きな Tom Petty の作品になったんです。

Brothers in Arms / Dire Straits

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ブラザース・イン・アームス / ダイアー・ストレイツ 1985年
進藤むつみのおすすめCD (vol.60)

get "Brothers in Arms"60回目になるこの『おすすめCD』ですが、今までに紹介してきた中の8割はアメリカとカナダのミュージシャンでした。イギリスだと Pink FloydQueen・・・、彼らはイギリスとは言い切れませんよね。他には Joe JacksonPrimal ScreamJoe もニュー・ヨークに渡った後のアルバムの紹介だったし、Primal Scream で紹介したのは "Give Out but Don't Give Up" でしたから、特にアメリカ南部のサウンドを狙ったアルバムでした。

別に、国籍で音楽を聴くつもりはないんですよ。だけど、これって自然にそうなっちゃうんですよね。アメリカン・ルーツ系の音が好きで、特にカントリーがかったロックにのめり込んでいたあたしには、『イイな』と思うとアメリカのミュージシャンっていう事が多いんです。他の国の人でも、アメリカっぽいサウンドだったりね。

だから今回ご紹介する Dire Straits も、イギリス出身ながらアメリカの香りを感じられるバンドだと思います。Mark Knopfler の飄々としたヴォーカルは Bob Dylan と比べられたし、乾いたギターの音色は特にアメリカ的と言えるでしょう。それに彼らは、デビュー直後からアメリカのマーケットを見た活動をしてきたしね。だけど、そんな中にも皮肉やユーモアを感じさせてくれるのは、やっぱりイギリス人だからでしょうか。そして、そんなバランス感覚がこのバンドの魅力だなと思うんです。

Anodyne / Uncle Tupelo

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アノダイン / アンクル・テュペロ 1993年
進藤むつみのおすすめCD (vol.55)

get "Anodyne"前回の Johnny Cash のご紹介では、カントリー音楽界からのオルタナ・カントリーへのアプローチのお話をしました。それまでのカントリーの枠に収まり切らなくなったサウンドは、まさにオルタナ・カントリーと呼ぶに相応しい音楽スタイルと言えるでしょう。ただし、オルタナ・カントリーというジャンルの主流は、パンクを中心としたロック・アーティストからのアプローチだと思うんです。

Son Volt, Wilco, the Jayhawks, Whiskeytown (=Ryan Adams), Blue Mountain, the Bottle Rockets・・・。1990年前後から、たくさんのバンドが同時多発的に登場しました。どのバンドも強烈な個性を持ち、またパンクやロックなどをベースにしながらも、強いカントリーへの敬愛が感じられます。表面的なサウンドだけカントリーを真似しているんじゃない、その精神をも取り込もうとしてると思うんです。このへんは60年代の後半、Gram ParsonsMichael Nesmith 等がカントリーにアプローチした『カントリー・ロック』に、とてもよく似ていると思います。

同時期に登場したミュージシャンが、お互いに影響を投げかけながら成長していくのだから、どのバンドが源流とは言えないでしょう。本当の意味ではカントリー・ロックにまで遡るでしょうし、70〜80年代にもその精神を守ってきたバンドはありました。しかし、90年代以降のブームと呼べるほどのオルタナ・カントリーの源流は、今回ご紹介する Uncle Tupelo と言っても良いと思います。登場した時代はもちろんですが、その後のシーンをリードする二人のアーティスト、なんと Son Volt を率いる Jay FarrarWilco を率いる Jeff Tweedy が組んでいたバンドだからです。

Unchained / Johnny Cash

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アンチェインド〜自由であれ! / ジョニー・キャッシュ 1996年
進藤むつみのおすすめCD (vol.54)

get "Unchained"オルタナ・カントリーにアプローチしてくるミュージシャンには、大きく分けてふたつのパターンがあると思います。ひとつは WilcoRyan Adams に代表される、パンクを中心としたロック・アーティストからのアプローチ。主流はこちらでしょう。スタイルだけの真似なんかじゃないんです。カントリーへの敬愛を持ってアプローチしてくるんです。このあたりは次回の Uncle Tupelo の紹介の時、詳しくお話したいと思います。

そしてもう一つ、それまでの枠に収まり切らなくなった、カントリー音楽界からのアプローチ。Johnny CashEmmylou Harris ら大御所の動きは、保守的で型にはまった業界を驚かせました。だけど、元々カントリーって保守的な音楽じゃないと思うんです。果たして Hank Williams は保守的でしょうか?。そんな事ありませんよね。60年代以降スタイルを重視したカントリーが増えた事で、保守的で無難な音楽に変わってしまっただけだと思うんです。もちろん70年代にナッシュビルに反旗をひるがえした、Willie Nelson などの例もありますけどね。

型にはまらないスタイル・・・。近年の Emmylou Harris は、それこそ前人未到の音楽を作り続けています。対して Jonny Cash は・・・、何も変わっていないんですよね。もちろんサウンド・アプローチにオルタナ的なものはありますが、それよりも精神的なものの方が大きいんです。その Johnny Cash の精神は、実はデビューからずっと変わらずにいて、そして強烈な個性を発しているんです。

アンクル・チャーリーと愛犬テディ / ニッティー・グリッティー・ダート・バンド 1970年
進藤むつみのおすすめCD (vol.44)

get "Uncle Charlie & His Dog Teddy"カントリー・ロック黎明期に、重要なアルバムを発表してきたミュージシャンといえば、 Gram Parsons と彼が在籍した the Byrdsthe Flying Burrito BrothersJim MessinaRichie Furay らが結成した Poco。元 MonkeesMichael Nesmith。そして、極め付けは Eagles でしょうか。ホントに名前を挙げるとキリがありませんが、それぞれに個性溢れるサウンドが魅力です。

その中でこの the Nitty Gritty Dirt Band は、カントリー・ロックというジャンルには収まらない音楽スタイルを展開しました。ロック、カントリー、ブルーグラス、フォーク、ブルース、R&B・・・。おそらく白人も黒人も関係ない、アメリカのルーツ系ミュージックの全てを飲み込んだサウンド。そんな独特のスタイルがこのバンドの特徴であり、他のバンドに比べて一回り大きく感じさせる要因なんだと思います。

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