Hot / Squirrel Nut Zippers

ホット / スクウィーレル・ナット・ジッパーズ 1996年
進藤むつみのおすすめCD (vol.21)

get "Hot"あたしは Squirrel Nut Zippers のセカンド・アルバム、この "Hot" を初めて聞いた時、マジ笑ってしまいました。いえいえ、嬉しくてね。評判は聞いていたんですよ。それにしても、ここまで見事なグッド・タイム・ミュージックとは思いませんでしたからね。


ノース・キャロライナ州で結成された Squirrel Nut Zippers。バンド名はブランドのキャンディーの名前からとったそうです。ジャズに傾倒していた Jim MathusKatharine Whalen を中心に、地元のバンドで活動していたメンバーが集まりました。

このバンドの基本は、オールド・タイミーなジャズです。スウィングやディキシーランドがベースなのですが、それにとどまる事なく、様々な要素を取り入れています。カントリー、ハワイアン、カリプソ・・・。楽器にしても、バンジョーやウクレレ。それらが絡み合う事によって、古いはずのサウンドがグッド・タイム・ミュージックとなり、そして更に90年代風の輝きを見せはじめるんです。ホントに不思議なんですよね。

1曲目の "Got My Own Thing Now" が聞こえてきた瞬間、まずは時代を遡ってしまうでしょう。思わずあたしは、アルバムの発売年を確認してしまいました。アコースティック・ギターのカッティングで始まり、そしてブラス・セクションが重なってくる。リズムを刻むWベース。それは見事なグッド・タイム・ミュージックです。Jim のヴォーカルも味があります。だけど、決して古くさい音だけに終わりはしないのは、メンバーの音楽の捉え方が、やはり現代的なんだと思います。

"Put a Lid on It" は代わって Katharine のヴォーカル。スウィングに乗る彼女の声が映えます。この人って歌うのが上手ですよ。雰囲気もあるし、ホントに魅力的なヴォーカル。曲によって色んな顔を見せますが、本格的なジャズを歌っても、十分に通用するレベルがあると思います。

JimKatharine が交互に、又はデュエットをしながらアルバムは進んでいきます。

エアプレイ・チャート72位の "Hell" は、このアルバムの中だけでなく Squirrel Nut Zippers の代表曲になるでしょう。90年代に入って、色んな切り口のルーツ回帰が見られますが、このバンドがとった形は、その後のアーチストへの影響も大きかったと思います。

ブラスをフィーチャーしたインストルメンタルの "Memphis Exorcism" や、ゲストの Andrew Byrds のヴァイオリンをフィーチャーした "Blue Angel" も良い味です。ほとんどの曲の2〜3分という演奏時間も、物足りなく感じる事はないでしょう。それどころか、この総時間38分のタイム・スリップが、あなたの新しいコレクションに加わる事は間違いないと思います。


全米チャート27位を記録したこの "Hot" は、全ての曲がメンバーの手による新曲で、カヴァー曲はありません。そして、ほとんど1発録りというレコーディング。確かに、その後のアルバムに比べると、少し荒々しいんですけどね。それがまた、このアルバムの魅力に繋がってるような気がします。そして、これだけのレベルのアルバムを作ってしまうのは、みんなこの手の音楽が、よっぽど好きなんだろうなあ。

Hot
1. Got My Own Thing Now / 2. Put a Lid on It / 3. Memphis Exorcism / 4. Twilight / 5. It Ain't You / 6. Prince Nez / 7. Hell / 8. Meant to Be / 9. Bad Businessman / 10. Flight of the Passing Fancy / 11. Blue Angel / 12. the Interlocutor
recorded at Kingsway Studios, New Orleans, LA & Mitch's Brickhenge, NC
Squirrel Nut Zippers (web site: http://www.snzippers.com/
Jim Mathus, Tom Maxwell, Ken Mosher, Chris Phillips, Don Raleigh & Katharine Whalen

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posted by 進藤むつみ on Autumn, 2004 in 音楽, 1990年代, アメリカン・ルーツ

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