Strangers Almanac / Whiskeytown
ストレンジャーズ・アルマナック / ウイスキータウン 1997年
進藤むつみのおすすめCD (vol.3)
Whiskytown って名前だと、知らない人もいるかも知れませんが、このバンドは今をときめく Ryan Adams が組んでいたバンドです。ホントにこの人、ブレイクしました。この "Strangers Almanac" の頃には、考えられなかったのに・・・
だけどこのアルバム、関係者からは絶賛されたんですよ(関係者じゃないけど、あたしも絶賛しました)。ジャンルでいえば『オルタナティヴ・カントリー』になりますが、その手の音楽では「決定打になる」って言われたくらい。ただ契約先のレコード会社のゴタゴタから、完成していた次作 "Pneumonia" がお蔵入り(ソロデビュー後の2001年に発売、これも傑作)するなど、なかなか一般的な評価に繋ってはくれませんでした。
Ryan Adams のソロ作品しか聴いてないと「春の日差しのように爽やか」、そんなイメージがあるかもしれません。だけどこの "Strangers Almanac" は、結構陰りのある音なんです。例えば "Inn Town" のアコースティック・ギターのイントロを聞いただけでも、それが分かるんじゃないかしら。そこにフィドルがからみ、憂いのあるヴォーカルが入ってくる・・・。まさにアメリカ南部的なルーツに根ざしたサウンドで、もう震えがきちゃう。鳥肌モノです。
ただ逆に "Yesterday's News" のように派手なロック的な曲も、この時代はあるんですよね。それなのにこんなにルーツ色を強く感じるのは、フィドル(メンバーの Caitlin Cary)やスティール・ギターが、アルバムの中で重要な位置を占めてるからかもしれません。
それと、こういう音楽を聞いてて、いつも思う事があります。それは、子供の頃から彼等の周りにカントリーを含めルーツな音が、自然に存在したんだろうなという事です。だって、パンクに影響を受けたって言ってて、こんな音が出てきちゃうんだもんね。あたしの大好きなジャンルだけど、空気のようには接してこれなかったな。うーん、残念。
最後に、Whiskeytown はメンバーチェンジの多いバンドでした。そんなせいもあるのかな。現在の彼には迷いがないっていうか、なんかすっきりした感じがします。バンドから離れて一人になる事で、本来の姿が現れたのかしら。それとも Ryan は当時23歳、7年の間に男として成長したのかな。
- Stranger's Almanac
- 1. Inn Town / 2. Excuse Me While I Break My Own Heart Tonight / 3. Yesterday's News / 4. 16 Days / 5. Everything I Do / 6. Houses on the Hill / 7. Turn Around / 8. Dancing With the Women at the Bar / 9. Waiting to Derail / 10. Avenues / 11. Losering / 12. Somebody Remembers the Rose / 13. Not Home Anymore
- produced by Jill Scott / recorded at Woodland Studios, Nashville, TN & Ocean Way Studios, Hollywood, CA
- Whiskeytown
- David Ryan Adams, Phil Wandscher, Caitlin Cary, Steven Terry & Jeff Rice
- Ryan Adams (web site: http://www.ryan-adams.com/ )
- born David Ryan Adams on November 5, 1974 in Jacksonville, NC.
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