Naturally / J.J. Cale

ナチュラリー / J.J. ケイル 1971年
進藤むつみのおすすめCD (vol.42)

get "Naturally"地味ですか?。確かに派手さはありません。流行なんて自分とは関係ないと、決めつけてるような人でしょう。チョロチョロっと弾くギター、ボソボソっと語りかけるようなヴォーカル。ギター弾きまくりアルバムを期待して聴いた人は、最初はガッカリするしれません。もっとも、J.J. Cale のスワンプ感は独特ですから、すぐに良さに気付くと思いますけどね。

そして独特といえばもうひとつ、彼のサウンドって強烈に密度が濃いんです。もちろん、音の数じゃなくってね。だいたい12曲を計6日で録っちゃうんですから、録音はほとんどライヴ感覚でしょう。それに、音色自体も太くはないんです。飄々とした演奏なのに、実はひとつひとつの音がシッカリしていて、出来上がったサウンドは強烈な密度の空間を構成している・・・。そういう事が、彼の音楽の一番の特徴なんだと思います。


J.J. Cale はオクラホマ生まれ。ハイ・スクール時代から Leon Russell と絡んでいたようですが、20代前半ではカントリー&ウエスタンのバンドにいたり、Phil Spector の元で仕事をしていた事もあるようです。その後、再び Leon と合流して、デビュー前の Delaney & Bonnie & Friends に参加。しかし、彼は単身地元に戻り、ソロ活動のための準備を始めました。

彼が注目されるキッカケは、やはり "after Midnight" を、Eric Clapton がカバーした事でしょう。Clapton としても初めてのヒット (全米18位) になりましたが、その後も Clapton"Cocain" を取り上げるなど、Cale の影響を隠そうともしませんでした。(もう少し時代が進んで、Dire StraitsMark Knopfler は、もっと直接的に影響を受けていると思います)


さて、注目された J.J. Cale は、この "Naturally" でデビューを飾ります。レコード会社は、盟友 Leon Russell のシェルター、録音はナッシュビルで行いました。


オープニングの "Call Me the Breeze" からして、独特で濃密で強烈です。スワンプ感がベースにあるのですが、カントリーの風味も強いんですよね。その上に、このノリの良いリズム。音色もいけないんでしょうか。強烈なグルーヴを生み出しています。そこに入る彼のヴォーカルが「ボソボソ」、ギターが「チョロチョロ」なんですよね。もう、笑いたくなるくらい、独特で魅力的な世界を作り上げています。

それと、この曲は Lynyrd Skynyrd がカバーし、彼等のライヴにはなくてはならない曲だったようです。Skynyrd バージョンの方が、スワンプ・ロックという感じがします。って、それは当たり前ですよね(笑)。


Cale 最大のヒット曲 "Crazy Mama" (22位) は、ルーズさが気持ちいい曲です。緩やかな時間に身をゆだねている感じ。だけど、特にギターがチョロチョロなんですよね。ソロが始まって聴き入ろうとすると、何とフェイド・アウトしてしまいます。うーん、お願いだから、もう少し聴くかせてくださいな。

"after Midnight" (42位) は、Clapton バージョンと比べると相当にスロー。だけど、スローだからこそ、彼の良さが出ているように思えるんです。うん、あたしはこっちのが好きだなあ。特にやっぱりヴォーカルですよね。味があるのはもちろん、彼の人間の大きさまでが伝わってくるような気がするんです。


Cale 風ブルースと呼べそうな "Call the Doctor""Don't Go to Strangers"、ブラス・セクションのバックアップが楽しい "Woman I Have""Nowhere to Run"Dire Straits の元ネタとは言いたいような "Magnolia" など、バラエティーに富んだ作品構成ながら、聴き終わってみればやっぱり J.J. Cale。シンプルでいて無駄がなく、そして濃密なサウンドは、やはり彼にしか表現できない世界でしょう。その上で、彼がどれだけ音楽が好きかという事が、伝わってくるアルバムのような気がします。

ただひとつ、このアルバムの問題点を上げるとすれば、演奏時間が短いんです。最も長い曲が3分23秒の "Magnolia"、総演奏時間も12曲で32分14秒。まったく信じられませんよね。この曲好き♪って思っても、あっという間に終わってしまいます。ただ、その分密度が濃く感じるから、その文句も引っ込めたくなってしまうんです。


J.J. Cale は、その後もコンスタントに活動を続けています。だいたい2〜3年に1枚のペースかな(最新作は04年の "to Tulsa and Back")。どのアルバムも、何も変わらない Cale がいます。いつもボソボソっと歌って、チョロチョロっとギターを弾いてね。だから、どれでも安心して聴く事ができるんだけど、それならばこの "Naturally" かな?って思っちゃうのは、あたしって贅沢なのかなあ?

うん、曲が短いのが "Naturally" の特徴と書きましたけども、訂正させてもらいましょうか。彼の曲の短さは、やっぱりその後も変わる事がなかったのでした(笑)。

Naturally
1. Call Me the Breeze / 2. Call the Doctor / 3. Don't Go to Strangers / 4. Woman I Have / 5. Magnolia / 6. Clyde / 7. Crazy Mama / 8. Nowhere to Run / 9. After Midnight / 10. River Runs Deep / 11. Bring It Back / 12. Crying Eyes
produced by Audie Ashworth / recorded at Moss Rose Studio, Nashville, TN & Bradley's Barn, Mt. Juliet, TN
J.J. Cale (web site: http://www.jjcale.com/
born Jean Jacques Cale on December 5, 1938 in Oklahoma City, OK.

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posted by 進藤むつみ on Spring, 2005 in 音楽, 1970年代, アメリカン・ルーツ

comments (2)

はじめまして 山田一郎です。最近 jj.caleが好きで進藤むつみさんのNaturallyのコメント楽しく読ませて頂き、とても参考になりました。実はjj.caleのCDを一枚ももってないのですが、ベスト盤を購入するかNaturallyやその他のベスト盤でないものを購入するか迷ってます。今はこのたぬきのCDを購入し私の宝の一枚にしようと思ってます。

>山田一郎さん、初めまして。コメントありがとうございます♪。
個人的にですけども、あたしはベスト盤っていうのはあまり好きになれないんですよね。なんていうか、お勧めの曲ばかりが並んでいると、山ばかりが続いて疲れちゃう。1枚のアルバムを聴く中で、山もあって谷もあって・・・っていう流れがあるから、お勧めの曲をもっと楽しむことができるんだと思います。まあ、ベスト盤を聴いて、それをきっかけに色んなアルバムを聴くなら良いと思いますけども。
『たぬきのCD』(笑)を気に入ってもらえれば良いな。それで、J.J. Cale の事をもっと好きになってもらえれば良いなと思います。

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