overdoseはきっと簡単

日本精神神経学会に性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン (PDF) というのがありまして、これに従っていけば治療をするためには精神科医の診断の後にホルモン療法を始めるわけで、始めてからも定期的に体の検査を行うぞと。実際、血中ホルモン値を測る事で薬の効果を確かめていくわけで、それに従っていけばもちろん薬の過剰摂取っていうのはあり得ないはずなんですよね。

ところが、世の中にはガイドラインに従わずに薬を始めちゃう輩がいて、これをT's関係者の間では『フライング』と呼んでたりする訳だけど、実はあたしもその一人だったりします。自分でホルモン療法を必要だと感じて、自分で薬を手配して摂取する事は、別に法律に違反する訳じゃない。だけど、何かあったらどうするのか？って問題もあるし、やっぱりあたし的には、正規の治療をしてる人に対して後ろめたい気持ちもあったりするんです。

で、まあ、そんなフライングをしてる人達にとっては、オーヴァードーズっていうのはあり得る話だったりするんですよね。

あたしが女性ホルモン剤の服用を始めたのは、2004年の２月。その頃はリアルで薬をしてる知り合いがいたりしたんだけど、それでも殆どの情報は自分でネットで探してきたんですね。どの薬が良さそうかだとか、一日にどのくらい服用すればいいのかだとか、どうやって薬を手に入れたらいいのかだとかも。まあ、それをその知人に聞いて確認してたりした訳だけど、検索して出てきたサイトは全部見るくらいの勢いだったりしました。そんな中、あたしは『ダイアン35』という薬を選んだんだけど、この薬は１日に３錠摂る人が多いと分かってきたんです。

だけど、あたしは１日に２錠にしたんですね。薬に対する不安はあるのはもちろんなんだけど、副作用が出るのに個人差があるのが一番の理由で、あたしとしてはなんとしてもオーヴァードーズしたくはなかった。以前の日記にも書いたけど、あたしは両親より先に死にたくはなかったんですね。もちろん、みんなそう思っているんだろうけど、実は結構あたしは親不孝の嵐を繰り返してきていて、せめて親より早く死ぬのだけは避けたかった。しかも、女性ホルモン剤のために何ていったら、なんとも言い訳できない話じゃないですか。

だから、ずっと１日２錠。しかも、体調がおかしくなった時には１日１錠に減らしたりしてた。薬のせいかどうかは分からないけど、一応気持ちの問題でね。

ただ、個人差があるからあたしにとってって事になるんだけど、２錠っていうのは女性化のための下限値だったかもしれないなと。薬を始めて３年で女性化が終わるって言われてるから、あたしはまあこの程度までって事なんだけど、イマイチだったかなとも思う。成長の足りなかったおっぱいだけど、しかも、なんか３年目くらいからは少し縮んだような気もするんですよね。それでも・・・あたしにとっては、女性化よりも死にたくないって方を選んでいたんです。

選んでいた・・・んですけどね。去年から精神的に参っていた。それに加えてチョット日焼けしちゃってさ。仕事関係で仕方ない事なんだ。まだ普通より白い方なんだけど、真っ白い肌が自慢だったあたしには結構辛かった。焼けてみて分かったんだけど、白い肌の方が女度が高いんだな、これが。なんか少しずつ男に戻っているような気がして、精神的なマイナスに拍車がかかる。で、今年の夏になって、ちょっと増量しようかなって思ったんですよね。

そこで１日３錠・・・にできないあたりが、進藤むつみの中途半端さだったりするんだけど、２日で５錠に増やしたんですね。１日あたり2.5錠。９時間サイクルと10時間サイクルを組み合わせると、こんな摂り方もできたりする。半減期の長い薬剤だから、もっとアバウトでもいいのかもしれないけれど、こういうトコロが細かいあたし（笑）。そうしたら・・・薬を初めて始めた頃と同じような、気持ちの落ち着きが出てきたんですよ。男でいる事から離れられる安心感っていうのかな？。なんか、薬に取り憑かれてるみたいで情けない話だけれど、少しだけ気持ちに余裕が出てきたんです。

で、今も相変わらず２日で５錠。女性化は・・・今さら進むわけはないな（涙）。だけど、おっぱいはチョット戻ってきたみたい。って事は、１日３錠にすればもっと違うのか。１日４錠摂ってる人もいるみたいだけど、女性化を優先したらそう考える人もいる訳ですよね。だから、もう一歩進んだ時には、オーヴァードーズってきっと簡単に起きるんだろうなって思ったんです。

女性の体の中で一生のうちに作られる女性ホルモンの量は、僅かスプーン１杯分といわれています。そりゃあ、ちょっとした量で全然変わってきますよね。ダイアン35は１錠当たりEthinyl Estradiol が0.035mg・・・ってのはどのくらいの量なのか、全然分からないあたしだったりするんです。