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CD紹介の目次 (A→Z)
CD紹介の目次 (発売年)

2016年
進藤むつみのおすすめCD (vol.80)

get "Magic Fire"あたしはこの "Magic Fire" を聴いた時、『見つけた!』って思いました。カントリー・ロックが大好きで、90年台のオルタナ・カントリーや2000年以降のアメリカーナを聴き続けていて、だけど、もっと黎明期のカントリー・ロックそのもののサウンドを奏でているバンドがあるんじゃないか・・・って思っていたんですね。それが、もうあたしのイメージ通りのアルバムに、ついに巡り合えたんです。

繊細でいて大胆な曲に、美しくも力強いハーモニー、乾いた風や太陽を感じさせるサウンドを、ギターやフィドルにマンドリンを持ち替えて、メンバーが交代でヴォーカルをとる。いや、これは70年前後のカントリー・ロックそのものでしょ。作曲やヴォーカルは二人で半々で担当していて、一人が圧倒的リーダーじゃないのも個人的には好ましい。

まあ、彼らについては情報が少なすぎるんですけどね(英語版 Wikipedia のページさえない)。だから、あたしが感じた印象を中心に、彼らのサウンドをお話しさせてもらいたいと思うんです。

posted by 進藤むつみ on Spring, 2022 in 音楽, 2010年代, アメリカン・ルーツ | comment

2018年
進藤むつみのおすすめCD (vol.79)

get "Can't Wake Up"なんか妙な事をやっているな・・・と、いうのが第一印象。 Shakey Graves"Late July" のプロモーションビデオを見た時の事なんですけどね。スーツケースにバスドラのキックペダルを2つ付けて、一つはパッドに当たるように、そして、もう一つは袋に包んだタンバリンに当たるようにして、スーツケースに腰掛けて、そのキックペダルを踵で踏みながらギターを弾いていた。

気持ちはわかるんですよね。ギター弾き語りをしていて最初に物足りなくなるのは、前奏はともかく間奏の間が持たない事。多くのシンガーがホルダーを付けてハーモニカを吹いたのはそう言う事だったろうし、彼の場合は、それは巧みなギターピッキングで乗り越えた。そして、次に悩むのは音の厚みがない事なんだと思います。ただ、それをこういう形でカバーした彼の発想力に加えて、それを実際に行ったその実行力に脱帽。まさに唯一無二のスタイルが誕生したのでした。

ただ、それが活かせたのは、曲の魅力、歌の魅力あってこそだと思うんですけどね。最初は際物のように思えた彼のスタイルだったのに、どんどんあたしが取り込まれて行ったのは、彼自身に魅力あってこそだったと思うんです。

posted by 進藤むつみ on Spring, 2022 in 音楽, 2010年代, シンガー・ソングライター | comment

2017年
進藤むつみのおすすめCD (vol.78)

get "Goodnight Rhonda Lee"俳優の方が演技をする場合、テレビと舞台では少し違ってくると思うんです。テレビの方がナチュラルっていうのかな。舞台の方が過剰な大きな演技になるんだと思う。その方が、舞台では伝わりやすいからだと思うんですよね。

対して、シンガーの場合もやっぱり演技をしていると思うんです。ロック・スターを演じるっていうんじゃなくて、例えば彼女の場合だと Nicole Atkins って歌手を演じているんじゃないかと思う。そして、その演じ方がね、彼女の場合、少し過剰なような気がするんです。思えば『Roy Orbison が父』と、自らのベースを語る彼女なんですよね。確かに Roy Orbison は過剰に自身を演じ切っている。その影響が、彼女の特徴的なヴォーカル・スタイルに現れているような気がするんです。

posted by 進藤むつみ on Spring, 2021 in 音楽, 2010年代, シンガー・ソングライター | comment

2016年
進藤むつみのおすすめCD (vol.77)

get "Cautionary Tale"'the new Neil Young' と評される事もあるのは、もちろん Neil YoungTodd Rundgren が好きだったという事から来るのでしょう。だけど、あたしはそれはチョット違うんじゃないかと思うんです。確かに1970年代には、素晴らしいシンガー・ソングライターがたくさんいた。でもね、 Dylan Leblanc はそれらの先人たちに負けないくらい、繊細でいてデリケートな、心の琴線に触れる歌を歌える、21世紀の新しいタイプのシンガー・ソングライターだと思っているんです。


Dylan Leblanc は Louisiana 州生まれ。幼い頃に両親は離婚したそうです。7歳の誕生日にギターを手にすると、10歳の時に、ミュージシャンである父親の住む Muscle Shoals に行き、その仕事をするスタジオを遊び場に育ったとの事。バンド活動を経た 2010年、20歳になる年に自らのプロデュースによるデビュー・アルバム、 "Paupers Field" を発表します。

なにしろ、独特の憂いのある歌声が耳を引く。そして暗くて重い。スチール・ギターが味付けをしている曲が多いんだけど、そのスチール・ギターの明るさが、かえって暗さを引き立たせたりしています。そして、前作を踏襲した内容のセカンド、"Cast the Same Old Shadow" を2012年に発表。ファーストとセカンドを発表後は、 Lucinda Williams, the Civil Wars, Bruce Springsteen, the Drive by Truckers, Alabama Shakes らの前座としてツアーを行いました。

posted by 進藤むつみ on Winter, 2020 in 音楽, 2010年代, シンガー・ソングライター | comment