category: 音楽 > 2000年代 (3)
ヤンキー・ホテル・フォックストロット / ウィルコ 2002年
進藤むつみのおすすめCD (vol.69)
(Anodyne / Uncle Tupelo から続く)
オルタナティヴ・カントリーの源流ともいえる Uncle Tupelo は、双頭バンドと呼ばれながらも実質 Jay Farrar のバンドだったと思います。詩もメロディーも歌もギターも、全てにおいて彼がリードしていて、Jeff Tweedy の個性やポップ感は面白いものの、どれをとっても少しずつ力不足。デビュー後3年間の成長は大きかったものの、2人を比べてしまえば、やっぱり Jeff が負けてるんですよね。
そして、Jay Farrar は解散後に組んだバンド Son Volt でも、Uncle Tupelo 時代に得意としたルーツ色を押し進め、強烈な煌めきを見せてきました。もう、オルタナ・カントリーの本流にどっしりと構えて、貫録を感じさせるほどのサウンドを聴かせてくれています。それは強いカントリーへの敬愛を感じさせると共に、彼のハートに嘘がなかった事をも証明したような気がするんです。
対する Jeff Tweedy は・・・、やはり彼が得意としてきたポップ感やパンク的な要素を出してきながらも、最初は自分の求めるサウンドが何なのか分かっていなかったんじゃないかしら。だから、ストレートなオルタナ・カントリー・タッチの曲もありながら、暴力的といえるほどの大音量やノイズで攻めてきたりしたような気がする。だけど、この時の試行錯誤が、そして Jay Farrar がいない事による解放感と焦燥感が、大きく彼を成長させたような気がするんです。
Uncle Tupelo 解散後に Jeff Tweedy が組んだバンドを Wilco といいます。
レヴェリング - レコニング / アーニー・ディフランコ 2001年
進藤むつみのおすすめCD (vol.27)
Ani Difranco の音楽を、ひと言で言い表すのは難しい事です。元々はフォークをベースにした、アコースティック・パンクになるのでしょう。あたしは彼女の歯切れの良いギター・カッティングをはじめて聴いた時、とても驚きました。しかしその後バンド・スタイルになり、更に様々なエッセンスを取り入れるにつれて、簡単に説明できるジャンルではなくなってしまいました。これはデビュー以来全てのアルバムを、自身が経営するインディ・レーベルのライチャス・ベイブから発売するというスタイルが、彼女の音楽性の自由さへと繋がったのかもしれません。