under the Table and Dreaming / Dave Matthews Band
アンダー・ザ・テーブル・アンド・ドリーミング / デイヴ・マシューズ・バンド 1994年
進藤むつみのおすすめCD (vol.52)
この Dave Matthews Band が日本で受け入れられない理由は、いったい何なのでしょう。ライヴ活動を精力的にこなすジャムバンドだから?。確かに日本では、その手のバンドって売れ難いんですよね。だけど、今やアメリカで一番集客力のあるバンドなんですよね。あまりにも日本との落差が、大きすぎるような気がします。
ロック、ジャズ、ファンク、ブルースなど、多彩な音楽を飲み込んだ幅の広さや、ギター、ベース、ドラムス、サックス、ヴァイオリンといった独特の楽器編成・・・、この辺にあるのでしょうか?。しかも Dave Matthews の奏でるギターって、アコースティック・ギターなんですよね。エレキ・ギターの入らない、またキーボードの入らないサウンドが取っつき難いのでしょうか?。いいえ、初めて聞いた方でも、違和感を感じる事はないでしょう。それほど纏まりのあるサウンドだと思うんです。
メンバーの顔が悪いから?・・・(笑)。確かに Dave のおっさんぶりを含めて、いつまでも見飽きない個性的な顔が並んでますが、それはここでは置いておきましょう。
ライヴの集客力もそうだし、ローリング・ストーン誌の読者投票『20世紀のベスト・ソングライター』で、Lennon / McCartney を上回る6位にランクされるなど、圧倒的な人気を誇る彼等が、日本でだけ売れないのはホントに悲しく思います。そしてそんなバンドこそ、ここで紹介させてもらいたいと思うんです。
リーダーの Dave Matthews は南アフリカで生まれ、幼少の頃はその地で過ごす事になります。彼の幅広い音楽感は、この出身地や聴いてきた音楽と無関係ではないでしょう。各地を転々とするようですが、19歳の時にはアメリカはバージニア州に落ち着く事になり、バンド結成のチャンスを伺っていたようです。
そんな彼と一緒に活動するメンバーは、ジャズ・クラブに出入りしていた、ジャズ畑のプレイヤーだそうです。直ぐにこの5人に固まるバンドのサウンドに、ジャズの即興性や緊張感を感じるのはそのせいでしょう。ライヴ活動を重ねたのち、93年にインディーズから "Remember Two Things" を発表。インディーとは思えない程のセールスと、またこの時点で地元では安定した人気を誇っていたそうです。
そして翌94年、メジャーからこの "under the Table and Dreaming" (全米11位) の登場となります。なにしろこのアルバムは衝撃的でした。ロック・・・ですよね。だけど、とってもファンキー、更にはジャズを感じさせる・・・。よく言われる事なのですが、元 the Police の Sting がソロ活動を始めた時、ジャズ・プレイヤーをパートナーに選んだのですが、その時のサウンドのイメージに近いかもしれません。
オープニングの "the Best of What's Aroung" からして印象的でした。堅くでクリアーな音。それなのに何故か渾沌としてるんです。そんなに音を重ねてるわけでもないし、アコースティックな楽器だけなんですけどね。鼻にかかった Dave のヴォーカルも、間奏のサックスも、全てが粘り着いてくるように絡み合っています。彼等のサウンドの独自性でしょう。だけど、バンド編成の違和感を感じる事はありません。
"What Would You Say" は最初のヒット曲。なにしろ格好良いんですよ。ノリの良いリズムから、キメのパターンやコーラスから、もうあたしは嵌まってしまいました。エレキ・ギターやキーボードがなくても、これだけのサウンドになるんですよね。決して不自然じゃないし、全然物足りなくもない。もっとも特異な楽器編成を上手く生かしているとは思うし、メンバー全員の纏まりが完成度を高めているとは思います。そして、この曲は Blues Travelers の John Popper がブルース・ハープで参加していて、この辺りもお楽しみのひとつかなと思うんです。
印象的なアコースティック・ギターのアルペジオが冴える "Satellite"。美しいバラードです。最初にこのバンドを知った時は、何でアコースティックだけなの?って思ったんだけど、彼等にとって必要の物だけに削っていった結果のような気がします。そして、ホントに必要なものだけだからこそ、輝きを増すような気がするんです。
アルバム中一番ポップな "Ants Marching" で、一緒に踊りましょうか♪。本当に曲作りが上手い人だと思います。うん、歌も魅力的。とっても幸せな気持ちにさせてくれます。それとヴァイオリンやサックスっていうと、ロックバンドではゲスト扱いのように思われるかもしれませんが、重要なパートを占めている事が、なくてはならないという事が分かります。このメンバーだからこそ、このサウンドになったのねって思うんですよね。
11曲で58分・・・。時間を見ればコンパクトとはいえないんです。だけど、決して冗長ではないし飽きもしない。きっちり収まったサウンドは、密度が濃い彼等の世界その物です。この "under the Table and Dreaming" は、メジャーデビューにしてその後のブレイクを感じさせる、見事なアルバムに仕上がっていると思います。
彼等はその後も順調にアルバムを発表していきます。96年 "Crash" (2位)、98年 "before These Crowded Streets" (1位)、2001年 "Everyday" (1位)、05年 "Stand Up" (1位)。"Everyday" 以降は、ちょっと迷っちゃってる感じもしますけどね。Dave のソロ色が強くなったというか、バンド・サウンドとしては弱いような気がするんです。それでも他のバンドと比べたら、相当高いレベルなんですけどね。
そしてジャム・バンドとしての実力を見せつけるように、97年に "Live at Red Rocks 8.15.95" や 99年に "Listener Supported" などのライヴ・アルバムも発表。この辺のアルバムを聴くと、彼等のサウンドが嘘じゃないというのが分かります。実力の高さが分かるんです。スタジオ以上の緊張感を感じさせながら、もっとノリが良いんですよね。生でライヴを見たいって気持ちになるんですよね。
恐るべき実力派 Dave Matthews Band は、大人のロックを奏でているのかもしれません。ぜひ彼等のサウンド世界に触れて、そしてアメリカと日本の人気の差は、どうかあなたから縮めていってもらいたいと思うんです♪。
- under the Table and Dreaming
- 1. the Best of What's Around / 2. What Would You Say / 3. Satellite / 4. Rhyme & Reason / 5. Typical Situation / 6. Dancing Nancies / 7. Ants Marching / 8. Lover Lay Down / 9. Jimi Thing / 10. Warehouse / 11. Pay for What You Get
- produced by Steve Lillywhite / recorded at Bearsville Studios, Bearsville, NY
- Dave Matthews Band (web site: http://www.davematthewsband.com/ )
- David Matthews, Carter Beauford, Stefan Lessard, Leroi Moore & Boyd Tinsley
- David Matthews
- born on January 9, 1967 in Johannesburg, South Africa
久しぶりにごついの紹介してくれますね。
持ってないんで買っちゃおかなあ。
>osaさん♪
面白いですよ〜!・・・っていうか、あたしの第一印象はカッコイイでした☆。
機会があれば、ぜひお試しください♪。