Rickie Lee Jones / Rickie Lee Jones

浪漫 / リッキー・リー・ジョーンズ 1979年
 進藤むつみのおすすめCD (vol.8)

get "Rickie Lee Jones"今回はシンガー・ソングライター、 Rickie Lee Jones のデビュー・アルバムのご紹介です。このアルバムをリアルタイムで聞いた人って、きっとショックを受けたのだろうと思います。曲の魅力にはもちろんの事、ベレー帽を被ったジャケット写真にも・・・


1950年代の良きアメリカから飛び込んで来たような Rickie Lee は、ジャズとポップスの良さを合わせ持ったフォーク・シンガーです。そしてこの『浪漫』こと "Rickie Lee Jones" は、名コンビ Russ Titelman & Lenny Waronker のプロデュースの元、西海岸の売れっ子ミュージシャン総集結、といったバックアップを受けて制作されています。

物憂げに、気怠く歌うヴォーカル。少女の面影を残しながらも、大人の女の横顔を覗かせる。抱きしめようとすると、スルリと逃げてしまう・・・。あたしが彼女の歌を聴いて、最初に受け取ったのはそんなイメージでした。

まずは1曲目の "Chuck E.'s in Love"(3位)からお話しましょう。独特のノリのリズムで始まるイントロから、気怠い彼女の歌声が入ってきた時点で、もう参ったです。それに聞き取りにくい歌詞も、じっくり聞いてみると洒落も満載。曲作りにおける彼女の世界は、デビュー・アルバムにして既に完成していたと思います。

"on Saturday Afternoons in 1963" は静かな気怠さ。 "Night Train" は穏やかな気怠さ(笑)と気怠さ一杯ですが、彼女の歌は誰にも真似のできない、独特の世界があります。

軽快なポップス "Young Blood"(40位)や Lowell George がカヴァーした "Easy Money" など、どこにも捨て曲はありません。本当に良く出来たアルバムです。物凄い才能を持った女性なのでしょうね。

このアルバムは全米3位と大ヒット。彼女はグラミー賞最優秀新人を受賞します。Joni Mitchell の再来と騒がれましたが、どこか Tom Waits を思わせるトコロもありますね。それはそうかもしれません。デビュー前に TomRickie Lee は、恋仲だったのですから。

ニューウェーヴやディスコ・サウンドが注目を集める時代に出てきた Rickie Lee。そのオリジナリティー溢れる曲作りで注目を集めるだけでなく、その後の女性ミュージシャンにも強い影響を与えます。また現在まで、レベルの高いアルバムを発表し続けている事(最新作 "the Evening of My Best Day" は2003年発売)も、評価しなければいけないでしょう。


前からあたしは、このアルバムは季節は秋・時間は黄昏時から夜に聞くべきと思っていました。だけど昼間ドライヴで聞いてみたら、結構良いんですよね。そういえば彼女は、4年後に "under the Boardwalk" をカヴァーしますが、それなんか夏の海辺の感じが、彼女の声とが上手くマッチしています。それを思うと、そんな聞き方も面白いのかもしれませんよ。

Rickie Lee Jones
1. Chuck E.'s in Love (恋するチャック) / 2. on Saturday Afternoons in 1963 (1963年土曜日の午後) / 3. Night Train / 4. Young Blood / 5. Easy Money / 6. Last Chance Texaco / 7. Danny's All-Star Joint (ダニーの店で) / 8. Coolsville / 9. Weasel and the White Boys Cool / 10. Company / 11. after Hours
produced by Lenny Waronker & Russ Titelman / recorded at Warner Bros. Recording Studio & the Burbank Studios
Rickie Lee Jones (web site: http://www.rickieleejones.com/
born on November 8, 1954 in Chicago, IL.

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posted by 進藤むつみ on Summer, 2004 in 音楽, 1970年代, シンガー・ソングライター

comments (2)

むつみさんこんばんは。今日も星の数ほどある未知の音楽からどれに踏み込んでみようかと思いめぐらせいたところこの作品に行きあたりました。Rickie Lee Jones・・私にはまさに「こんにちは、初めまして」といったところです。聴いてみて一つはっきり解ったことがあるんです。それは、ピアノに対してアコギ、その好き嫌いが僕には天地の差 としてあるということです、今まで無意識だったのですが。とくに②⑩⑪の魅力にはノックアウトされましたし。彼女の他の作品もあれば聴いてみたいですね。 さしあたり第一の感想として。いつも指針になって下さりありがとうございます。

>キャリーさん♪
自分の好きなアルバムを聴いてもらって、そして気に入っていただけたとしたら、こんなに嬉しい事はありません。ただ・・・あたしの好みはチョット偏っているもので、注意してお聴き下さいませ(笑)。
で、『ピアノに対してのアコギ』と言われると、あたし的にもああ!・・・と思う事があります。自分で弾いてたってせいもあると思うけど、あたしは逆にアコギが好きなんですよね。だから、このアルバムだと1曲目の "Chuck E.'s in Love" にこそあたしはノックアウトされたわけで、もちろんピアノが嫌いなわけじゃないけれど、無意識にギターの音を思い浮かべながらレビューを書いてるかもしれません。
・・・もっと言えば、あたしのCD紹介記事って、ギター系のアーチストが多いかもしれない。うん、これも無意識なんですけども。
Rickie Lee を気に入ってもらって、彼女の他のアルバム・・・って事になれば、次のお勧めはセカンドの "Pirates" かなあ。ファーストと同じラインにあるアルバムで、だけどもっとピアノにシフトしているから・・・、もしかしたら "Pirates" の方がキャリーさんの好みに合うかもしれませんね♪。

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