Omnipop (It's Only a Flesh Wound Lambchop) / Sam Phillips
オムニポップ / サム・フィリップス 1996年
進藤むつみのおすすめCD (vol.4)
これって女性歌手の Sam Phillips ですよ。Elvis Presley を発掘した、同名プロデューサーの事ではありません♪
二回続けて『オルタナ・カントリー』のお話しです。ただ、前回の "Strangers Almanac" が『カントリー』側としたら、"Omnipop" は『オルタナティヴ』側に振ったサウンドじゃないでしょうか。
彼女は Leslie Phillips の本名で、ゴスペル歌手としてデビューしています。あたしは、あまり得意なジャンルじゃないんだけどね。結構な売れっ子だったみたいです。実績を積み重ねた後に、プロデューサーの T-Bone Burnett と出会い(後に結婚)、ポップ・シンガーに転向。プロデューサーとの出会いで、サウンドが変わるアーチストって多いんですよ。だけど彼女はホント、見事にツボに嵌まったと言えるんじゃないかしら。グラミー賞にノミネート(94年の "Martinis and Bikinis")されるまでになったんだもの。
T-Bone Burnett については、少しお話しなくちゃいけませんね。ベテラン・プロデューサーですけど、90年代に入ってからも the Wallflowers, Counting Crows といった大ヒットを飛ばす傍ら、 Gillian Welch やサントラの "O Brother" も手がけるなど、まさに近年の『オルタナ・カントリー』ブームの立て役者の一人です。
さて、この "Omnipop" は、アコースティックな彼女の良さを生かしながらも、『オルタナティヴ』なサウンドが広がっていきます。
"Entertainmen" のイントロで、ベースが8ビートを刻むんだけど、 「何でこんなにリバーブがかかって、前面に出てるの?」って思いました。距離感を間違えたと言うか、時空間が歪んじゃったような音。こういう音には、初めて触れる人も少なくないと思います。
ところが "Zero, Zero, Zero!" のように、ボンゴとマーチ風のスネアにブラス・セクションが乗る軽やかなポップスあり、どこか映画のサントラを思わせる "Help Yourself" あり。いろんな表情のある、とてもバラエティが溢れるアルバムになっています。それでも何故か、統一感があるんだから不思議ですよね。
そして大切なのは、どの曲でも Sam Phillips の声が生きている事です。ちょっと癖のあるアンニュイな声。やる気がないようにも聞こえるんだけど(笑)、こういう声って好きだなあ。この声を生かす方法を探っていたら、この "Omnipop" に繋がった気もしますね。
彼女は2001年、Nonesuch に移籍。その後も素晴らしいアルバムを発表しています。この辺りも、いつか紹介していければ良いな。
サントラみたいって言えば、彼女は女優でもあるそうです。"Die Hard 3" に出演してたって?。あたしって映画に詳しくないので、その辺の話を知ってる人がいたら、ぜひ教えて下さい。
- Omnipop (It's Only a Flesh Wound Lambchop)
- 1. Entertainmen / 2. Plastic Is Forever / 3. Animals on Wheels / 4. Zero Zero Zero! / 5. Help Yourself / 6. Your Hands / 7. Power World / 8. (Skeleton) / 9. Where Are You Taking Me / 10. Compulsive Gambler / 11. Faster Pussycat to the Library! (ファスター・プッシーキャット図書館へ行く) / 12. Slapstick Heart
- produced by T-Bone Burnett / recorded at Sunset Sound Studios, L.A., CA
- Sam Phillips (web site: http://www.samphillipsmusic.com/ )
- born Leslie Ann Phillips on January 28, 1962 in Hollywood, CA.
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