Airplay / Airplay

ロマンティック / エアプレイ 1980年
進藤むつみのおすすめCD (vol.19)

get "Airplay"まさにこのアルバムのサウンドこそが、80年代AORそのものです。まあ『アメリカ西海岸のロック系』という、註釈を付けなければいけませんけどね♪。


David FosterJay Graydon という、プロデューサー、プレイヤーとして名声を欲しいままにした2人。彼等に加えてヴォーカルには Tommy Funderburk、バックに TOTOJeff Porcaro (ds), David Hungate (b), Steve Lukather (g) ら、そして Ray Parker, Jr. (g) や Mike Baird (ds) などを配したスーパー・プロジェクト Airplay。セールス的にはともかく、ミュージシャンに与えた影響は大きかったと思います。

David Foster は、メロウなイメージが強いような気がします。Chicago のプロデュースなどは、いい例ではないでしょうか(オーヴァー・プロデュースですけどね)。そして、the Manhattan Transfer のプロデュースをした Jay Graydon は、ハイ・センスな感じがします。そしてそれぞれ、プレイヤーとしての評価も高いんです。

だけど、やっぱり裏方としての仕事をしてたんですよね。その2人が表舞台に打って出たのですから、同じイメージで聴くととんでもない事になります。やっぱりこの二人って、ロック系だったんですね。それがもっとも顕著に顕れてるのが、"Stranded""Cryin' All Night"、オープニングからの2曲だと思います。

いきなりハイ・トーン・コーラスで始まるのが "Stranded"。もう、ウエスト・コースト系ロックでなければ何なの?って感じ。ギターを中心に置いた、ドライヴ感溢れる硬質なロック・サウンドが飛び出してきます。細かいところを聴けばいろんな事をしてるんだけど、基本はストレートなんですよ。そうか、こんな音楽がやりたかったのか!。

続く "Cryin' All Night" も同じです。なんて単純明快なんでしょう(笑)。明るくて爽やかで・・・。相当複雑に音が重なり合ってるはずなのに、抜けが良いんです。聞き直してみると分かるのですが、このアルバムって相当日本の音楽(アレンジや音色など)に影響を与えていると思います。

そして、他のミュージシャンに提供した曲のセルフ・カヴァーも絶品です。

"Nothin' You Can Do about It" は、the Manhattan Transfer"Extensions" で取り上げた曲。彼等にしては Graydon 色が強いなと思ったんだけど、いえいえ、このアルバムのヴァージョンこそ Foster/Graydon サウンドです。この曲に限りませんが、晴れた日にドライヴしながら聴いたら、気持ち良いアルバムでしょうね。

"after the Love Is Gone" は言うまでもなく、Earth, Wind & Fire が全米2位の大ヒットをさせた曲です。これも EW&F で聴いた時とは、ずいぶん印象が違います。しっかりロック・バラードになってるんですよね。そうか、オリジナルはこうだったんだ!。そんな風に思えるくらい。まさにアルバムのラストを締めくくるのにふさわしい、そしてプロジェクトの終わりを予感させる名バラードです。

80年代を代表するサウンドを聴かせてくれた Airplay は、このアルバム1枚でプロジェクトを解消してしまいます。時代そのものの音だっただけに、今聴けば、逆に古くさく感じてしまうでしょう。だけど、その時代のサウンドを探るには、絶好のアルバムなのかもしれません。そして、その時代を知る人がこのアルバムを聴いた時、もしそれが初めてだったとしても、懐かしく思えるような気がします。


ちなみにAmazonでは、輸入盤の取り扱いがありません(com や uk でも扱いなし)。もともと日本でしかウケなかったアルバムだし、常に再発し続けてる事の方が、不思議なのかもしれないな。

Airplay
1. Stranded / 2. Cryin' All Night / 3. It Will Be Alright / 4. Nothin' You Can Do about It (貴方には何も出来ない) / 5. Should We Carry on / 6. Leave Me Alone / 7. Sweet Body / 8. Bix / 9. She Waits for Me (彼女はウェイト・フォー・ミー) / 10. after the Love Is Gone
produced by Jay Graydon & David Foster
Airplay
David Foster, Jay Graydon & Tommy Funderburk

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posted by 進藤むつみ on Autumn, 2004 in 音楽, 1980年代, ロック

comments (4)

はじめまして
onomichiといいます。
Airplayは、ロマンティックですね。
僕もこのアルバムについてはレビューしてますけど、なんというか80年代!!ですw
でも技術的にも楽曲的にも時代を代表する1枚であることは間違いないでしょう。
日本では相変わらず(オールドファンには特に)根強い人気ですけど、やっぱりどこか日本人好みの音なのかもしれないですね。

onomichiさん、はじめまして♪。
コメントありがとうございます。Rock & Movie Reviewsも拝見いたしました。
このアルバムの音って、見事に80年代してますよね。もう、笑っちゃうくらい。実はこのレビューの時(レビューって程じゃないですけど)は、初期の TOTO のアルバムを書くつもりでいて、参考に引っ張り出してきた Airply を聞いたら、久しぶりにはまってしまいました(笑)。確かに演奏だけでなく、そして時代を代表するアルバムなのはもちろん、技術(エンジニアリング)的に与えた影響は大きかったと思います。
ホントに日本では根強いですね。もはや、AOR ファンのバイブルなんだと思います。

お初です。懐かしのAOR・FUSION大好きオヤジです。Airplayの検索でHITして遊びに来ました。とってもステキなページですね。分析も的確で素晴らしいです。これからもよろしくお願いします。

主審さん、はじめまして。ブログにしろ分析にしろ、中途半端で恥ずかしい限りです。

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