Tales from the Punchbowl / Primus
テイルズ・フロム・ザ・パンチボウル / プライマス 1995年
進藤むつみのおすすめCD (vol.6)
フジロック・フェスティバルのタイムテーブルに、いくつか気になるバンドの名前を見つけました。その中から、二つのバンドのお話をしたいと思います。
ひとつめのバンドは Primus です。ミクスチャー・ロックというのがピッタリなんですけど、きっとこの言葉は死語でしょうね。もうホントに、ヘヴィ・メタルから、パンク、ファンク、そしてジャズまで、見事に混ざり合った不思議音楽です。仕方がないから分かりやすく、変態ロックって言っておきましょうか(笑)。そんな彼等の "Tales from the Punchbowl" のご紹介です。
聴いた瞬間、まず印象に残るのは Les Claypool のベースですね。全てのフレーズをチョッパーで演奏するなんて、普通だと考えられません。まあ、実際は全てじゃないんですけど、そんな風に聞こえちゃうんですよ。「八つ当たりしなくてもいいでしょう」 って、感じ。それに対抗して、ギターの Larry LaLonde とドラムスの Tim Alexander が、「本気で勝負をしているような音」っていうのかな?。みんな上手なんですよ。テクニックがあるとはいえ、フルパワーでの演奏されるとね。こっちも体力がないと、とてもついて行けません。
エアプレイ・チャートに入った "Wynona's Big Brown Beaver" は、さらに弾けたような曲です。もう、舐められてるような感じ。まあ事実、歌詞からして舐めてるんですけど。'Beaver' を引っかけてね(笑)。だけどポップなサウンドは、一番聴きやすい(理解しやすい)曲なのかな?。
"De Anza Jig" のオールド・タイミーな感じなど、今までになかった曲調のも何曲かあります。それでも通して聞けばいつも通り、変態ロック全開の Primus のアルバムが、全米8位です。時代だったのかもしれないけれど、アメリカの音楽ファンは、層が厚いっていうか、懐が深いっていうか・・・。
ただ Primus は、前作 "Pork Soda" できっと、行き着くところまで行ってしまったのでしょう。確かに完成したアルバムでした。解散する事はありませんが、この "Tales from the Punchbowl" の頃、 Les Claypool は別プロジェクトも始め、ソロアルバムも発表します。もうバンドとしての活動は、制約があり過ぎたのかもしれません。事実この後のアルバムは、無鉄砲さ(彼等らしさ)がなくなっていくような気がします。売れてはいたんですけどね。
それでもベスト・メンバーに戻って、4年ぶりのアルバムを発表したのが去年の事。今後の活動には、注目なのかもしれません。
そうそう、気を付けてもらいたい事がひとつ。Primus の音楽は、元気な時に聞かないと、大変な事になります。うっかり聞いて、気持ち悪くなっても知らないからね(笑)。それも、個性的で勢いのある証拠なんですけどね。
- Tales from the Punchbowl
- 1. Professor Nutbutter's House of Treats / 2. Mrs. Blaileen / 3. Wynona's Big Brown Beaver / 4. Southbound Pachyderm / 5. Space Farm / 6. Year of the Parrot / 7. Hellbound 17 1/2 (Theme from) / 8. Glass Sandwich / 9. Del Davis Treefarm / 10. De Anza Jig / 11. on the Tweek Again / 12. over the Electric Grapevine / 13. Captain Shiner
- produced by Primus / recorded at Rancho Relaxo
- Primus (web site: http://www.primusville.com/ )
- Les Claypool, Larry LaLonde & Tim "Herb" Alexander
- Les Claypool
- born Leslie Edward Claypool on September 29, 1963 in Richmond, CA.
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