Learning to Crawl / the Pretenders

ラーニング・トゥ・クロール / プリテンダーズ 1983年
進藤むつみのおすすめCD (vol.13)

get "Learning to Crawl"the Pretenders を率いる Chrissie Hynde(彼女がいるから the Pretenders とも言いますけど)は、世界で一番カッコイイ女性ロッカーだと思います。もう惚れ惚れしちゃうくらい。ロックっぽい音楽をしてる女性は多いけど、彼女は心の底からロックしてるんですよ。そんな Chrissie 率いる the Pretenders、彼等の3rdアルバムのご紹介です。


アメリカ人ながら英NME(有名音楽誌)の記者をしていた Chrissie Hynde が、バンドを結成したのは、名プロデューサーの Chris Thomas との出会い、そして彼の勧めがあったと言います。その Thomas のプロデュースで発表した、デビューアルバム(80年、グラミー賞にもノミネート)とセカンドアルバム(81年)は、相次いで全米トップ10入り。順調なスタートを切ったかに見えました。

しかし、このアルバムが発売される事になる1983年の春、デビュー以来のメンバー2人が、ドラッグが原因で相次いで死亡します(一人は解雇後)。そのためか、しばらく the Pretenders のアルバムは、毎回違うメンバーでの録音になってしまいます。それは、Martin Chambers(彼は良いドラマーです!)が出戻った、94年の "Last of the Independents" まで続く事になります。また同じ年、彼女は出産と離婚をするという、とんでもない状況の中で製作されたのが、この "Learning to Crawl" でした。

だけど、そんなマイナス要因を忘れさせてしまうほど、このアルバムが傑作なんです。

疾走するロックン・ロール "Middle of the Road" (全米19位) で幕を開けた途端に、Chrissie の独断場です。なにしろカッコイイんです。媚びるわけでもなく、ぶっきらぼうにさえ聞こえるヴォーカル。しかしデビュー当時と違い、暖かさも感じる事ができるのは、出産を経験した後だからでしょうか。

彼等の最大のヒット曲 "Back of the Chain Gang" (5位) は、更にそれを思わせる曲かもしれません。控えめで優しげで、だけどシッカリとした芯があるサウンド。2人のメンバーが入れ替わって、初めてのアルバムとは思えないほどの纏まりを見せています。

また、イントロのベースが印象的な "My City Was Gone" は、彼女の故郷オハイオを歌ったものでしょう。ミドル・テンポのこの曲は、アルバムの中では特にポイントではありませんが、あたしは一番のお気に入りだったりします。

他にも "Show Me" (19位) と "Thin Line between Love and Hate" (83位) の2曲がチャートイン。アルバム自体も5位と、完成度を物語るように、the Pretenders 最大のヒットとなりました。

Chrissie がいれば the Pretenders、それは間違いではないでしょう。なにしろ彼女は、希代の女性ロッカーですから。だけどやっぱり、その素晴らしいヴォーカルも、バックの演奏と一体になれば、更に輝きを見せる。その事を証明したアルバムが、"Learning to Crawl" なんだと思います。


the Pretenders は一度も解散せずに、現在まで活動を続けています(最新作は2002年の "Loose Screw")。その中でこのアルバム以外にもう一枚と言えば、MTV アンプラグドをCD化した "the Isle of View" (95年) を、あたしはお勧めします。数あるアンプラグド・アルバムの中でも、これは傑作!。機会があれば、どうかこれも聞いてもらいたいと思います。

Learning to Crawl
1. Middle of the Road / 2. Back on the Chain Gang / 3. Time the Avenger / 4. Watching the Clothes / 5. Show Me / 6. Thumbelina / 7. My City Was Gone / 8. Thin Line between Love and Hate / 9. I Hurt You / 10. 2000 Miles
produced by Chris Thomas
the Pretenders
Chrissie Hynde, Martin Chambers, Malcolm Foster & Robbie McIntosh
Chrissie Hynde
born on September 7, 1951 in Akron, OH

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posted by 進藤むつみ on Autumn, 2004 in 音楽, 1980年代, ロック

comments (6)

こんにちは♪ブログ新人のFaithです。
カウンタ設置について色々と見て回っていたらこちらにたどり着きました。
そしたらまぁなんと!私の大好きなLearning to Crawlのジャケ写が…
あぁ、もう嬉しくてカウンタはそっちのけです。で、初コメントさせていただきます。
いいですよね?Chrissieの声。あと、Martinのもみあげはステキ…
今年の2月にライブに行きました♪いやそれはもう、ず~っと恋焦がれていたので初の生PRETENDERSには感動です。これでもう思い残すことはない…というぐらい。
これからも姐御についてゆきたいと思います。
ではでは、このへんで、失礼致します。

Faithさん、はじめまして。
カウンタ設置では、お役に立てなくてゴメンなさい。えーと、設置できてますね。あたしからも、ちゃんと見えてますよ♪
生Pretenders、良いなあ。いかがでした?。各アルバムの曲を、まんべんなく演奏したのかしら?。CDで聴くのとは一味違う、迫力のあるサウンドが広がるんでしょうね。あたしの文章力ではこのアルバムの、そしてChrissieの魅力の、1/100も表現できませんでしたが、ホントに素敵な女性だと思います。憧れちゃうな。こういう女性の事を、「イイ女」って言うんじゃないかしら。・・・生Chrissie、見たいなあ(笑)
それと、Martinのもみあげの事も、お話しなければいけなかったわね(笑)。

  ちわ♪今日このアルバムレンタル落ちで手に入れましたよん♪  今聴いてます。  相変わらずなかなか難しい事考えてますよ、馬鹿ですねぇ~~(笑)

  で、早速こちらを検索してみましたが、やっぱ今までの見出しの方がわしには検索しやすいなぁ~~。  更新するのは大変でしょうからお願いできないですけど、このまま残して置いてくれないかなぁ~~?  まだまだ探しているアルバム一杯あるのですよ。  見つかり次第また読みたいもんで♪

  と言う訳で感想はまた書きに来るかも知れません♪  では~~☆

>usagi3さん♪
おおお、ついについに☆。どうですか?、やっぱり苦手ですか?(笑)。
あたし的には、このアルバムでもダメだったら諦めます。久しぶりに聴きたくなっちゃったな♪。カッコイイと思うんですけどね・・・。
あ、目次ページは、使っていただける方が一人でもいらっしゃるのなら残します。なんていうか、誰も使ってないような感覚なんですよ。だけど、そう言っていただけるのなら百人力!。まあ、全自動にしたいのはしたいトコロなんだけど、それ程の手間でもないですしね。チョット修正するとは思いますけども。
感想は・・・うちのコメントよりもブログの記事でお願いしますね♪。

で、早速タグで検索してみました。  小さい字は探しにくいにゃ~~(汗)  ホント、マメでいらっしゃいますねぇ。  で、マンモス大雑把のわしが来ましたよ♪  一応このアルバムの記事UPしました・・・が。少し下にさげてあります。  結局最悪の記事になってしまったので。  でも一応お知らせ。  呆れて下さい☆

>usagi3さん♪
小さい字は目に入り難いように、あえて標準よりも小さくしてるんです(笑)。大きい字のアーティストだけをご覧下さい♪。
・・・と、さげてアップしちゃダメですってば。全然最悪って事はないし、usagi3さんが何をどう感じられたかが大切なんですよね。で、コメントさせてもらおうと思ったんだけど、こっちで独り言をいう事にしました。
あたしは Chrissie の強烈な大姉御状態って、確かに意識の裏返しって気もするけど、いや、もっと越えたトコロにあるんじゃないの?って気もするんですね。それに Joni に対する記述にしても言いたい事があったりする。だけど、それってあたしが思ってる事だけであって、一般に受け入れられる事じゃないと思うんです。
でもね、それでいいんですよ。音楽って、それぞれがそれぞれの思いで楽しめればいいんです。だって、他人に合わせようなんて思ったら、楽しくなくなっちゃいますよ。それが仕事なら別ですけどね。だから、usagi3さんなりに解決されたのなら、それがusagi3さんの正答だと思うんです。

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