Blind Melon / Blind Melon

ブラインド・メロン / ブラインド・メロン 1992年
進藤むつみのおすすめCD (vol.50)

get "Blind Melon"熱心なファン以外の方は、Blind Melon というバンドをどのようなイメージで捉えているのでしょう。90年代風アメリカン・ハードロック?。だけど、あたしはそれにしては線が細いような気がするんです。素朴すぎると言ってもいいでしょうか。オルタナと呼べる部分はあるけれど、決してグランジ系ではありませんしね。

それでは、スマッシュヒットした "No Rain" のPVのイメージでしょうか。確かにカントリー風のサウンドも、彼等の重要なベースのひとつです。それでも『ミツバチ少女』と野原を駈けているヒッピー風のPVの印象で、彼等を捉えてしまうのは危険だと思うんです。事実そのイメージを拭うために、彼等は相当苦労したようです。

彼等はしっかりとルーツに根ざしたサウンドを得意としながら、その上でハードなアプローチを、独創的な曲展開を繰り広げていました。メンバーはかなりの実力派といっても良いでしょう。そして、なにより Shanon Hoon のヴォーカル・・・、その魅力が大きかったのだと思います。だみ声とまではいかなくても、かすれたような彼の声。だけど、その歌声の瑞々しさは、少年のように思えるくらいなんです。


最初に Blind Melon を有名にしたのは、マネージメントが Gun n' Roses と同じだったということでしょう。Axl Rose はあちこちでバックアップする発言をしていたし、アルバム "Use Your Illusion" に収録の "Don't Cry" では、AxlShanon Hoon はデュエットをしています。Gun n' Roses の後ろ盾・・・。そんな目で見られることは、しかし彼等にとってはあまり好ましいことではなかったようです。強烈な個性を持ったバンドと比べられることは、Blind Melon のイメージを狭めてしまう事になるからでしょう。

多分 Blind Melon の方が、守備範囲が広いんだと思うんです。影響を受けたアーチストを見ると、 Syd Barrett, Jim Croce, the Allman Brothers Band, Led Zeppelin, the Greateful Dead・・・。えっ、ありえない?。そう、ジャンルが広すぎるんですよね。だけど、彼等のアルバムを聴くと、それぞれのアーチストの影響を感じられます。そして、それでも統一されたサウンドなのは、バンドとしての纏まりの強さから来るのだと思います。

そのバンドとしての纏まりは、レコード会社との契約後にノースカロライナ州に引っ込んで共同生活をしたことで高まったようです。the Band の Big Pink よろしく Sleepy House と名付けた家で音楽漬けの生活・・・。これって、当時の彼等に必要だった事でしょう。曲作りのためにもプレイのためにも。だけど、それ以上に本格的に将来を見据えていたからこそ、彼等は没頭したとあたしは思うんですよね。


さて、そんな Blind Melon のファースト・アルバムは、シアトルで録音されて92年に発表。しかし発売当時の売れ行きは、好ましいものではなかったようです。これには幾つかの要件が重なっているのですが、曲を聴きながらお話していきましょうか。


"Soak the Sin" を聴けば、彼等が影響を受けたアーチスト全ての影響が見て取れます。プラス Guns っぽさもあるかしら?。それが Blind Melon サウンドといえる音になっているのは、彼等の演奏力の高さからだと思います。色んな影響を見事に纏めちゃってるんですよね。ドラムの音も綺麗だし、ツイン・ギターが粘っこく絡んで来るのも魅力的。基本はやっぱりアメリカン・ハード・ロックですね。乾いたサウンドです。ただ、重くないんですよね。前述したように、ハード・ロックと呼ぶには線が細くて、素朴すぎるような気がします。時代的に考えると、やっぱりオルタナと言われてしまうのでしょうか?。

続く "Tones of Home" でも絡み合うギターと、さらに絡むようなヴォーカルが面白いです。そして、そこに泥臭さも加わってきます。彼等の南部的な要素はセカンド・アルバムでこそ開花すると思いますが、ここでも十分に楽しめるでしょう。やってる事はハードなはずなのにそう聞こえないのは、録音の影響があるのはもちろんですが、Shanon Hoon の独特なヴォーカルのせいかもしれません。

アコースティック・ギターの弾き語りから、ハードなギター・リフへと展開する "I Wonder" は、Zeppelin のコピーですか?(笑)。リフもスゴク魅力があるんですよね。だけど、やっぱりなんか中途半端。演奏力で纏めちゃったのが、裏目に出てるような気がします。逆に、散漫な印象になっていまうのかもしれませんね。

"Change" はホッとします。こういう曲、あたし好きです。もっともカントリー・タッチな曲。彼等はホントに純粋だったんじゃないかと思わせます。Shanon のヴォーカルの瑞々しさや透明感は、こういう曲でいっそう輝くと思うんですよね。本当に唯一無二のヴォーカルです。

唯一チャートインした "No Rain" (全米20位) は、『ミツバチ少女』のPVが有名です。もう、これは有名です(笑)。Blind Melon というと、このイメージしかない方も多いかもしれません。カントリーっぽさがあって、のどかな曲で・・・。ただ、彼等の全体像とは違うんですよ。その辺りを気をつけないといけないと思います。アルバム発売から一年後、この曲が MTV でヘビー・ローテーションされた事で、彼等に火が付きました。


通して聴いて見ると、色んな要素を飲み込み過ぎかもしれませんね。何が特徴とは言えなくなっちゃってるんです。ハードだけどルーツで、カントリーにしては重くて・・・。力がなければ一方向に向かったような気がするけど、飲み込んじゃった。そういった中途半端さが、当初売れなかった原因かもしれません。まあ好きになると、それこそが Blind Melon の魅力なんですけどね(笑)。

もうひとつ発売当時の売れ行きが良くなかった理由は、恐ろしく地味なツアーを行った事にもあるようです。一部ブッキングされたメジャーなミュージシャンとの共演以外、ほとんどは小さいクラブ・サーキットに徹して、アメリカ中をくまなく回っていました。これも Sleepy House での共同生活と同じく、彼等自身が本当に将来を見据えていたからの活動だと思うんです。それは "No Rain" で火が付いた途端、このデビューアルバムが全米3位まで駆け上がった事で証明されるような気がするんです。


さて、その後 Blind Melon は、95年にセカンド・アルバム "Soup" を発表しました。今度はニューオーリンズでのレコーディング。これが大傑作になります。散漫な印象はここではなく、ズッシリと密度のあるサウンド。曲もコンパクトでいてキャッチー。泥臭いルーツ・ミュージックに染まったハード・ロック。デビュー当時からの共同生活、クラブ・サーキット、南部での録音・・・。全てがプラスに向いた結果が出たんだと思います。じっくりと将来を見てきた甲斐があったと思うんです。

しかし、このアルバムはまったく売れませんでした。期待も大きすぎたのかもしれません。メンバーはドラッグに溺れていったそうです。Shanon にはその年に子供が産まれ、「子供を育てるのは大変だ。もう薬なんてやってられない」って言っていたのに。ドラッグの治療のため、病院でリハビリまで行った事もあるというのに・・・。

"Soup" の発表から僅か3ヶ月、1995年の10月21日。ツアー・バスの中で息を引き取った Shanon Hoon が発見されました。死因は・・・ドラッグのオーヴァードーズでした。まったくばか者だよね。何だって言うのかしら?。こんなに少年のような瑞々しい歌い方をする人が、優しくって暖かくって悲しくって、そんな特別な歌声を持つ人が・・・。

Blind Melon は、そのまま解散する事になります。

Blind Melon
1. Soak the Sin / 2. Tones of Home / 3. I Wonder / 4. Paper Scratcher / 5. Dear Ol' Dad / 6. Change / 7. No Rain / 8. Deserted / 9. Sleepyhouse / 10. Holyman / 11. Seed to a Tree / 12. Drive / 13. Time
produced by Rick Parashar & Blind Melon / recorded at London Bridge Studios, Seattle, WA.
Blind Melon
Shannon Hoon, Glen Graham, Brad Smith, Christopher Thorn & Rogers Stevens
Shannon Hoon
born Richard Shannon Hoon on September 26, 1967 in Lafayette, IN; died of a drug overdose on October 21, 1995 (age 28).

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posted by 進藤むつみ on Summer, 2005 in 音楽, 1990年代, オルタナ

comments (8)

僕もブラインド・メロン好きでした。僕の中で彼らは「60年代にタイムスリップしたパール・ジャム」ってイメージです。意味不明かもしれませんが・・・ 時期的にグランジ・オルタナブームの時だけど、
グランジ・オルタナ、LAメタル、両方から一線を画していたと思います。当時の某雑誌で、ロック第三勢力か?みたいな扱いの記事をみたことがあります。本当に解散してしまうには惜しいバンドでした。今思うと、あの当時、彼らはすごく貴重な存在だったと思います。

>マサさん、はじめまして♪。コメントありがとうございます。
なるほどね、ロック第三勢力ですか。どんなと簡単には分けられない彼等の音楽は、そう考える方が自然なのかもしれませんね。だけど、あたしはそんな中途半端さも合わせて、『オルタナ』と呼ぶしかないのかなと思っているんです。
彼等はとても純粋だったのだと思います。そう、確かに貴重な存在でした。ただ、それに加えてセカンドの "Soup" の出来の良さ!。あたしはどれだけ伸びていくのか恐いくらいに感じていたから、本当に惜しくてならないんです。

  ちは☆  何?今頃?!とお思いでしょうが(笑い)今日漸くこちらのバンドさんのセカンド『スープ』を手に入れましてん♪  いやぁ~、長かった(くすくす)  なんかね。  この記事読んでからずっとこのバンドのアルバム探してたんです。  何か印象深かったしね。  第一、とっても覚えやすい名前だし(爆)  いまそれ聴きながら読み返していたところです。  この後たったの3ヶ月ですか・・・。  本当にとても惜しいです。  悔しい位です。

  うん・・・。  そうですね。  わしとしては今は単純にパンクとして聴いてるところですね、ウン。

>usagi3さん♪
過去の記事って『覚えててもらえた』って事だから、逆に嬉しいです♪。
"Soup"、いいでしょ?。Shanonの魅力、満載です。絶対に傑作だと思いますよ、売れませんでしたけどね。だけど・・・パンクですか?。オルタナじゃなくって?。アメリカン・ルーツ色は、usagi3さん的にはありませんか?。うん、どうしようかな。あたしも、もう一度聴き直してみようかな。
今思ったんだけど、ファーストのがusagi3さんの好みかもしれませんね。いろんなアーチストの影響ごちゃまぜだけど、もっとずっとストレートなんですよね。
『ロック☆スクラップ』さんでのレビュー、楽しみにしています♪。

  こんばんわ♪  こらから記事を揚げるんですが、やっぱりリンクさせて下さい♪  実はとんでもない方向に行ってしまったんですがご勘弁を(汗)

>usagi3さん♪
今 "Soup" を聴き返していました。実はこの記事を書く時、ファーストにするか "Soup" にするかスゴク悩んだんですよね。あたしも "Soup" をレビューすればよかったかも・・・。
とんでもない方向・・・に振りかけて、だけど、しっかりした紹介記事になっていると思います。あたしも、もう少し自分の思いを出せるようにならないとなあ。
のちほど、お邪魔しますね♪

僕はBlind Melon 当時1st Album 特に"Change"が気に入っています。
僕にとってはグランジでも無ければオルタナでも無い印象です。
Guns n Rosesとも違いますね。
コメントの通り70年代のロックの影響が大きいですね。
2nd Album"Soup"では音楽の幅も広がりも見せAmerica南部の乾いて土臭い良い雰囲気が漂っていて僕にとっては好みです。
良い方向に向かって進み始めると楽しみでしたが、Albumも1st程売れずメンバーは結果に落胆しShannon Hoonも亡くなってしまいました。
1st程売れなかった理由は間違ったイメージが原因だと思っています。
純粋でカリスマ性のあるボーカルだと思っていたのでとても残念です。
頑張って乗り越えて欲しかったと思います。

>うえださん♪
"Change"、良いですよね。あたし好みの原点的なトコにある曲だと思います。
本文でも書いたけど、グランジじゃないですよね。オルタナ・・・と言えばそうだけど、あたしはカテゴリーは何にしてるんだ?。オルタナか。時代的な感覚かもしれません。カテゴリーはただのロックでも良かったかな。
あたしにとって Blind Melon のデビューは結構衝撃でした。これはスゴいバンドが出てきたぞと。しかもセカンドで "Soup" が来た。土臭いですよね。もう、まるであたしの好みが分かってて作ったようなアルバム。で、その頃毎日のように聴いてたら Shannon が死んだと言う。悲しいっていうよりも頭にきた。バカヤローって、泣きながら怒ってたような気がします。
方向は間違ってないような気がするんですよね。しっかりとファーストの延長線上にあると思う。ただ、音質が変わりすぎたかな?。あたしにとって好みでも、ファーストのイメージで聴いた人の期待は裏切っちゃったかな?・・・と思います。

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