恋に理屈なんてないけれど

恋愛・・・というか、性自認と性指向についてです。全文、追記にさせてもらいます。

 
恋に理屈なんてありません。好きだから好き、それだけで十分だと思います。

ただ、あたしは自分が女でない事に悩んできて、自分の本質を認められないでいた。自分を否定しながら生きてきた。それは、女装する自分を認められるようになってみると何でもない事なんだけど、その時にはどうしても乗り越えられない悩みでした。それと同じように、恋愛に関してもちょっとした躓きがあったんです。やっぱり、今になれば何でもない事なんだけど、その時はどうしていいか分からなかった。

もちろん誰にも性に関する悩みはあるはずで、だけど、これって自分だけで、又は恋人と二人で解決しないといけない事が多いと思うんですね。まったくの他人には相談し辛いですものね。あたしの場合は、完全に自分一人で抱え込んじゃって、結局は身動きがとれなくなっちゃった。ホントに、ただ素直になれば良かったんですけどね。今日は、そんなお話をさせてほしいんです。

 
その前に、性自認と性指向について、簡単に整理させてもらいたいと思います。(参考:K.K.Toyamaセクシュアル・マイノリティ総説


ここに一人の男の人がいます。彼は男として生まれて、自分の事を男だと思っていました。生物学的に男で、性自認も男。ここでは分かり易く、体が男で心も男・・・『男 (男)』と言わせてもらいたいと思います。

もう一人、あたしのようなのがいたとします(笑)。男として生まれたんだけど、自分の事を女だと思っていました。生物学的に男だけど、性自認は女。体が男で心が女のこの人は『男 (女)』になります。

・・・って言い切れるほど、簡単じゃないんですけどね。あたしの中の男と女の割合は、場合によって変化しますから。女6:男4って時もあるし、女8:男2って時もある。だけど、あたしは恋愛の時って女10なんですね。大いなる勘違いって言われそうですけどね。だから、今日のお話の中では『男 (女)』と言わせてください。


最初の彼に戻りましょうか。彼は女の人と出会って恋をしました。彼の性指向は女の人でした。体が男で心も男で、恋愛対象は女。『男 (男)→女』という事になります。ホントは、恋愛対象と性的欲求を分けるべきなのかもしれませんが、ここではチョット省かせてください。さて、この時に性指向が男の人に向かったらどうなるのか?。『男 (男)→男』・・・この場合にはゲイと呼ばれる事になります。

分かりますか?。性自認と性指向に、関連性はないんです。体が男だから女の人を好きになるだとか、心が男だからどうだとか、そんなの関係ないんですよね。確かに『男 (男)→女』のケースが多数なんです。だけど、生まれついての性(生物学的な性)も、自分の意識の性(性自認)も、恋愛対象(性指向)も、それぞれが独立していて、どれも関連付けて考える事はできないんです。


さて、それじゃあ、あたしみたいな『男 (女)』の人間の、意識の向かう先はどうなるか。やっぱり人によって違うわけで、男の場合と女の場合があるんです。『男 (女)→男』の人と『男 (女)→女』の人がいる。だけど、『男 (男)』の場合と同じように、やっぱり性自認と性指向には関連はないんです。心が女だから、男の人を好きになるわけじゃない。

生物学的に男の場合でも、性自認と性指向の組み合わせで、『男 (男)→女』『男 (男)→男』『男 (女)→男』『男 (女)→女』の4つに分けて考えられるんです。そして、もう一つ言わせていただくと、このうち同性愛者と呼ばれるのは、『男 (男)→男』と『男 (女)→女』の場合になります。『男 (女)→男』が違うのは、こういう事って心の性を中心に考えるからなんです。


まあ、簡単にお話しちゃったけど、実際はこんなに単純じゃないですよね。自分の中の男と女の割合って、絶対どの人にもあると思う。『男 (男)→女』の人でも、男9:女1だったりするだろうし、その割り合いも変化すると思う。女装しても心は男のままの人もいる。性指向も、どちらも受け入れられるバイセクシャルな人もいる。もっと言っちゃえば、性指向がどちらにも向かわない『Aセクシャル』な人もいる。

100人いれば100通りに分けられて、100通りの悩みがあると思います。ただ、これからお話するあたしの事を分かってもらう序章として、乱暴にお話させていただきました。・・・うん、まだ序章なんですよね(笑)。

 
あたしは自分の中の性違和感を持て余してきて、自己否定な人生を歩んできました。それは、ひとつには『男 (男)→女』として生きていかなくちゃいけないっていう、思い込みがあったのかもしれない。だって、女装していいなんて、誰も教えてくれませんでしたからね。両親も殊更あたしに男らしさを求める事はなかったけど、やっぱりそれを望んでいる事は分かりました。

だけど、10代の頃はそれほど大変じゃなかった。スカートを穿く事はあったし、まあ、繰り返し何度もそうするんだけど、そのつど直ぐに否定して終わった。いけない事をしてるって思いがありましたからね。一時的にそうしたいんだろうって、勝手に解釈したりもした。だから、高校の時に女の子とつきあったのも自然だったし、不思議には思いませんでした。ただ、なんかシックリこない感じはしたんです。

二十歳の頃、自分の本質、女でいたい自分が大きくなってくると、自分が何者か分からなくなってきた。素直に自分の気持ちを、受け入れる事はできなかったんです。この時、あたしは決定的な間違いを犯してしまいました。以前お話させてもらったように、自分の本質をないものにしようとしたんですね。そしてそのために、無理に『男 (男)→女』として振る舞っちゃったんです。


それは、そうしてるうちに男に戻れるんじゃないかって思ったし、誰かがあたしを、男に引き戻してくれるんじゃないかって思いもあった。だから、いろんな女の人とお付き合いしてきたし、同棲みたいに自分を追い込んだ事もありました。もちろん恋愛は体だけじゃないし、相手の人の事は好きなんですよね。だけど、どうしても『愛してる』という気持ちにはなれなかったんです。

そして、彼女を抱きながらあたしが何を考えていたか、彼女の体に何を映していたかといえば、男に抱かれる自分の姿だったんです。彼女を抱きながら、男に抱かれる自分を想像してた。そうしないと負けちゃうんですね。思いを振り切ろうと力を込めれば、今度乱暴に扱われる自分を想ってた。ホントに酷い人間だと思います。


こうなると、女でいたい自分を別にして、あたしはゲイじゃないかと考えるんです。男の人に抱かれる自分を、想像してるわけですからね。だけど、ゲイの人向けの本を買って読んでみると、違うんですよね。ああいう本って強調してるトコロがあるわけだけど、あたしは気持ちが入らないし、興奮もしない。その理由は分からないけれど、自分は違うって事だけは分かったんです。

あとになってゲイの方から話を聞いた時に、納得しましたけどね。彼はこう言うんです。『男同士愛しあうのに、何で女の格好をするんだ』って。ホントに目から鱗でした。だって、あたしは女として愛されたいんですよ。あたしは、女として男の人と愛し合いたいんですからね。もちろんゲイの人を否定するわけじゃないけど、あたしは違う事を確信しました。そしてまた、自分が何者か分からなくなっていたんです。


20代のあたしは完全に無駄に過ごしてしまいました。だんだん男でいる事は無理だって分かってきて、だけど女装する自分は認める事ができなくって。時々『この人なら』って思える女性とお付き合いして、やっぱりダメだって諦めて。当たり前の話、どんなに男っぽい感じの人でも女なんです。あたしの中の男を求めてくるんです。


さて、ここから抜け出す事ができたのは、上のリンクの時にもお話させてもらいましたが、自分の中の『本質』が暴れ出して、女装する事を認めざるを得なくなってからでした。女装しないではいられないし、女装したら外へ出たくなる。そして、それほど多くはないにしろ、他の人とお話する機会が出てきたからです。

やっぱりね、一人ってダメなんですよ。一人でいたら、今でもそのままだったかもしれません。そして、色んな人がいる事が分かりました。例えば『女装好き・トランス好き』な人がいるなんて、あたしは考えなかったんですね。それと、ゲイの人にも色んな人がいる事が分かった。『あたしでも大丈夫かもしれない』って思ったんです。

あたしは肩を抱かれました。その時、はじめて男の人の胸に抱き寄せられたその時に、スッと力が抜けたんです。体の力だけじゃなくて、意地になってガチガチに凝り固まった心の力もスッと抜けた。涙が零れるほど嬉しかったんです。あたしが何を望んでいるのかが分かりました。あたしはこうなりたかったんだって、早く素直になればよかったって思ったんです。


問題は、どうしても女装してる姿しか見せたくないんですね。だって、女として愛されたいんですから。男のあたしを知る人に、変身する事を知られたくはないけど、女のあたしを知る人には、変身前の姿は見せたくない。それって自然な気持ちだと思うんだけど、やっぱりちょっと大変でした。最近でこそ昼間平気で女装して歩けるけど、前はそこまでのレベルはなかったから、実は夜でも大変だった(笑)。

ただ、それも女性ホルモンをはじめた事で変わってきました。体中に薄い脂肪の膜がついて、おっぱいも少しだけど出てきた。髪の毛が長かったせいが大きいけど、男性モードで『奥さん』って呼ばれる事が出てくる。体臭さえも変わってきて、中側から女になってる自信がある。そうするとね、そのまま自分は女だって思えてくるんですね。好きな人と一緒にいて、話し方や笑い方や仕草さえ、自然なあたしがいる。昼間歩きながら、ベタッと腕を組んじゃったりする。人の少ない所はですけどね♪。

だけど、それなら『ゲイとはどう違うんだ?』って事になっちゃうんですよね。いえ、さっきも言ったように否定するわけじゃないけど、あたしは女のつもりですから。それともう一つ、あたしの事に興味を持つ人って、あたしが男だから良いわけで、純粋に女だったらダメなんですね。そんな風に、自由になった代わりに、妙な事を考えているあたしなんです。

 
あたしは体は男で心は女。そして、恋愛対象は男の人だけどゲイじゃない。ホントに自然にそう思います。遠回りをして、ここまで辿り着くのに時間がかかっちゃいましたけどね。それでも自分の事が分かって良かったと思います。だって、あたしはこうして生きるしかないんですから。何も言う必要はないんですよね。

だけど、まあ、一応『恋人募集中』とだけ言っておきましょうか♪。

posted by 進藤むつみ on Spring, 2006 in T's

comments (8)

むつみさん、こんばんわ〜。
今回の☆エントリーもふむふむそうなのかーと思いながら
読みました。って事を伝えたくて、コメントしました。
人の素直な気持ちに触れた時は心が暖かくなって、なんだか
自分も幸せな気分になります。本当ありがたいです。

>まろさん♪
ありがとうございます☆・・・っていうか、ごめんよぉ。もっとサラッと書くつもりだったんだけど、なんかグチグチになっちゃった(汗)。
だけど、いろいろあったわけだけど、今はホントに悩んでないんですよね。すごく素直で自然体なあたしがいる。それが伝わっているのなら、ありがたいと思います。
・・・まあ、悩みがないわけじゃないか。恋人募集中なわけですから(笑)。

ちは♪

そっかぁ~。  チャートにして貰うとすっごくよく判りますね、目からウロコです。  実は今回、自分の事を思いっきり振り返りながら読んでたりするんですがね。まあ、それは置いときましょう。

性の障害ってのは誰もが色んな形で抱えるものなんですね。  それを自覚してしまう人と言うのは割合的には少ないんでしょう。だから大多数の人は『男』と『女』の2種類しかいないと思っている。  むつみさんの問題(という訳じゃないと思う。不便ではあるけど異常とか言うモンでは無いもんね)とは違うけど、何処かの段階で『割合』じゃなくて『濃度』が問題になることもあるよねぇ。うん。  ごめんなさい。また意味ッ不明★書いてしまいました。今回は追記を開かないとコメント読めないからいいかな?

そして、そうか。  少なくとも一度は思いを遂げる事が出来たんですね。良かった♪  表に出る事はやはり大切なんですね。 この調子でまた、ガンバロー(?!)

>usagi3さん♪
チャートというか4つに分けちゃったのは、あたしの話をわかり易くするためなんだけど、ちょっと乱暴なんですよね。確かに4つには分かれるにしろ、その合間をもう少しお話するべきだったかもしれないなと。時間があれば、ぜひK.K.Toyamaさんのサイトを見ていただければと思います。
性の障害・・・というよりも、性の悩みは絶対誰にでもあるもので、マイノリティだけのものじゃないんです。だけど、否定されちゃう事があるから悲しいんですよね。なにしろ、自分ではどうしようもなかったわけで、あたしのパターンだけじゃない、色んなケースがあるはずなんだけど、どんな人達とも認めあいたいと思うんですよ。だって、少数派だっても、自分でそれを変える事はできないんですから。・・・まあ、ゲイの人は少数じゃありませんけどね。
濃度・・・か。何処かの段階じゃなくても、その方が感覚的かもしれませんね。うん、説明はし難くなりますけど。どうなのかな?、何処かの段階から違ってくるのかしら?。なんか、やけにあたしにはシックリきています。
やっぱり、表に出る事じゃないかなあ。それから一歩一歩だと思います。あたしにとっては、女装する自分を肯定できたのが一番大きかった。女装者は、みんなそうかもしれませんけどね。それから相手を見つめる事ができて、薬をはじめて更にもう一段階進めたのが、実はビックリしているんです。
・・・usagi3さんのお話を、もう少し聞きたいトコですけどね♪。

とっても興味深く読みました。むつみさんはいつも私にとって、尽きない興味の対象です。もっと色々聞きたいです。

で、いきなり物凄く否定的なことを書いてしまいますが。
私は同性愛(一般的にいう意味。つまり男性が男性を好きになる全ての場合=むつみさんも含む)も女装も何の抵抗もありませんし、充分に理解出来ると思っています。ただひとつ、性同一障害だけは理解できないんです。「女になりたい」はわかります。でも「自分は女の筈だ」がわからない。だって男なんですから。
例えば「私は本当はアメリカ人の筈だ」というのと同じに感じちゃうんですよ。(たまにそういう人もいますがw)
人間は持って生まれたものや環境は受け入れるしかない。でも現状を変えるべく努力するのは素晴らしい。だからアメリカに移住したり、性転換したりするのは結構なことだと思う。(コレは前にむつみさんと長々と話したこととかぶりますね)

卑怯かもしれないけど、もうこのことでむつみさんと議論する気はないんですよ。というか、単に非難したくないということかもしれませんが。
ただ、今後もこういった件に関して色々と感想を書くと思うんですが、私が基本的にそう感じているということだけ、一度書いておこうと思ったんです。暴力的だったらゴメンなさい。

ちなみに今回のポイントである「恋愛対象は男の人だけどゲイじゃない」は、よく理解できます。(一般的な認識では、ソレはずばりゲイですけど)
私はずっと前から、ゲイ(男性)の友人が欲しいと思っていました。つまり、恋愛関係の介入しえない男性の友人という意味です。私は男性の友人が多くて、彼らと話すのが好きなのですが、今までのところ100%(!)結局は女として見られてしまいました。2年前に、15年も親友としてつきあってきた男性に、とうとう言い寄られてしまい、すごくショックでした。
だから、男性を好きな男性と友だちになりたかったんです。ソレって「女同士」ってことですもんね?(男性なんですけどw)
要するに、むつみさんと同じようなことを考えていたわけです。

ということで、今はネット上だけですが、どうか私のお友達になってください。(実は私はもう勝手に友達のつもりですがw)
知的でかつ感情的で、なのに漬物も漬けちゃったりする妙に家庭的な、そんなむつみさんがとっても好きです。
(つけ加えれば、むつみさんとの出会いがガーベッジのレビューで、楽しくお話していて、男性というのは後から知ったことも、自然でよかったと思っています)

>Screaming Bunnyさん♪
性同一性障害を何で理解できないのか考えてたんだけど、更に少数派だからじゃないかなと。
同性愛者って結構多いんですよね。20人に一人とかいわれるけど、絶対そんなに少なくない。異性装者も同性愛者に比べたらずっと少なくても、やっぱりいるわけだし、都会だと見かける事も珍しくないと思う。割合はわかりませんけどね。だけど、GIDの人ってもっと少ないんですね。だから、マイノリティになればなるほど、理解し難くなるんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか?。
多数派から見たら『自分は女の筈だ』が『アメリカ人の筈だ』と思えるほど、突拍子もなく感じるかもしれない。だけど、本人は本気だし必死なんですよね。GIDの治療が、何でホルモン療法や手術をするかといえば、『心の性は変えられないから、体を心に近づけよう』って事なんです。それだけ心はどうしようもない。だから、GIDの人達の事も理解できなくていいから、受け入れてもらえればと思います。
まあ、あたしはGIDじゃありませんけどね。そこまで症状が重くないし、実は多くの人を納得させられるだけの理由もあったりする。だけど、本文で言った『恋愛の時は女10』っていうのは、『女の筈なのに』じゃなくて『完全に自分の事を女と思ってる』んですよ、真面目な話。そういう意味では、GIDの人よりも思い部分もあるかもしれないし、微妙に重なってるかもしれないし、これも簡単に区分できない事なのかもしれません。
うん、理解っていうより、知ってもらいたいだけなんですけどね。

やっぱり一般的にはゲイかなあ。一緒にしてほしくないなあ・・・って、たぶんゲイの人のが思ってますけど(笑)。女装者にしてもGIDの人にしても、恋愛対象は女性ってケースはかなり多くって(そっちのほうが多いかも)、あたしは彼女達の事を『レズビアン』って呼んでるんですよね。
えーと、あたしは男じゃありませんが(笑)、異性間の友情は存在すると考える人間です。ただ、友人としての付き合いから、恋愛に発展する事もありますよね。お互いを知る事って大切だから、それは不自然じゃないと思う。だけど、あまり長い期間をおいてだと不自然か。最初にピンとくるんですものね。
うーん、どうなんだろう。あたしは前にお話しした『姉』を含めて、女性と親しくお付き合いする事って多いんだけど、あまり意識してないなあ。だって、男性とだって親しくお付き合いしますよ、当たり前の話。あたしの恋愛対象が男だからって、彼等をそう思う事ってありませんけどね。もしかしたら、一般的な考えからはズレちゃってるかなあ。

友達・・・じゃないんですか?。あたしはそう思ってましたけど(笑)。知的じゃないし、漬け物漬けたのは食いしん坊だからですが、ありがとうございます♪。キッカケは確かに良かったですよね。まあ、本来は男か女かで変わるわけじゃないんですけどね。

こんばんは♪

わしの事ですかぁ?  いや、話すと言っても大したコトでは無いですよぉ。  それに見ようによっては結構グロい話だし。  勿体つけるんじゃないけど、それこそ世の中には結構いる、で、結構忌み嫌われている類の人種ですからね。  多分、人によっては気分が悪くなるでしょう。  気が向いたらメールとか個人的にお喋りします。(聞いたら後悔するかもぉ~)

それよか、いい機会なんでわしの現在の認識を書こうかなぁ?と思って♪

最初にこちらにお邪魔した時のむつみさんの第一印象ってね。  とても神経が細やかで優しくて、でもってとても解放的な人だと思ったんですよねぇ。  うん。  とっても理想的な人。  だってね。  『あたしは男だけど女なんだよ。よろしくね♪』って感じだと思ったんだもん。  いや、今にして思えば無知だったとしか言い様が無いけれど、ごく自然な気持ちでそう言える人なんだと思って、わしみたくヘンなヤツでも相手してくれると思ったんです。  でもとにかく、とっくに『乗り越えてる』んだと思ってたの。  本当にこれは謝らなければいけない事です。

でも実は乗り越え切れていないと知った時は正直驚きました。  それほどに難しい事だったんだと、それが実は驚きだったんですよね。  人の生き方は様々である。と言う事は、別に特殊な人と接した経験などないけれどわしには諒解済みの事柄でした。  基本的に『こういう生き方は許せない』は無いんですよね。  ま、実は自分のだらしない生き方の言い訳でもあるんだけどね(笑い)

白状しちゃうと、『性同一障害でも其れほどまでには重度ではない』と言う一点だけが理解できなかったりする。  でも1人の人間の意識の中には無限の人格が存在するものです。  男性的人格と女性的人格の比率という考え方をすればそれも納得できる事ではあります。

まあ、ロックの話でもしましょうか。  わしはロックちゅうのは『男性』だと考えています。  音楽に於ける性別と言う事でね。  わしはロック史にはまるで詳しくないんですが、やっぱり女性がロックンロールする場合はかなりな障害がある場合が多かったんじゃないのかしら?  でもこの世には優れた女性ロックアーティストは数多くいる。  女性だってロックを聴いて血沸き肉踊る気持ちになる人がいれば、ヘヴィ・ロックなんて大嫌いな男性だっていっぱいいる。  むつみさんの薬関係の記事を読めば心と体が密接な関係にあると言うコトがよく判りますが、反面心は肉の束縛から自由なんです。  逆に肉体も持ち主の思惑から外れる事はしょっちゅうあるしね。  其れが自然な事なんじゃないかな?  ギャップはあるよ、誰にだって。

長いなぁ~~。  もうちょっとだけいいです?  性同一障害って先天的、例えば発生段階で脳の構造の発達がずれて性別の違う構造を持って生まれた人とかの場合もあれば、後天的な要素で精神構造が異性別仕様に発達した場合てのもあると思うんだけど、それ以外に異性装者の方の中には異性装した自分に理想の異性を投影すると言うのもあると思う。  一口にトランスと言っても人様々だと考えているんですがね。  それがまたマイノリティだから、適格なパートナーに出会う確率はかなり低くなると思ってしまうので、だからむつみさんの彼氏の存在はとても感動したんですよね。  正直羨ましいです。

>usagi3さん♪
うーん・・・、いいカッコしてたってことかなあ。勘違いさせちゃってたとしたら、あたしの方がゴメンナサイですよね。だけど、神経が細やかで優しくて開放的な進藤むつみって、自分としても理想なんですね。できればそうありたいと思ってるし、いつも乗り越えようとしてる・・・つもりではいる(笑)。まあ、全然違う人間を装ってるつもりはないんだけど、そうだなあ、この日記だとちょっとテンション高いかもしれませんね。
ただ、乗り越え切れてないっていうのは、誰もがそうなんじゃないでしょうか。別にセクシャル・マイノリティだけじゃなくて、性的には多数派の人達も、一生かけて乗り越えようとするものがあるんだと思う。それがきっと、あたしにとっては、この問題に集約しちゃっただけなんだと思います。
で、乗り越えたかどうかといえば、まあ乗り越え切れてないんですけどね。それでも、一番の大山は越えてるんですね。前のレスでもお話したけれど、『女装する自分を肯定する』事がホントに大変だったんです。乗り越える前は、それこそ悪い事をしてるくらいの感覚だったのに、女装したい気持ちは抑えられないんですよね。10年以上苦しんで、だから自分をないものにしてきたから、肯定できた時には肩の荷が下りたような感じがしたんです。
それから考えると、恋する気持ちを受け入れる事は、それほど大変じゃなかったな。時間的にも、それほどはかからなかったですしね。まあ、薬を始めた事が次の山になりますか。あたしみたいのが、女性ホルモンを服用していいのか?・・・って、やっぱり引っかかりましたからね。それでもあたしにとっては、自己肯定からの自然な流れだったと思っているんです。

『性同一障害でも其れほどまでには重度ではない』は、そのままなんですけどね。他の人から見たら、不自然なのかなあ?。ホントにGIDの人の話って重いですよ。あたしなんか、何事もないように思えるくらい。だから、薬を始める事に後ろめたさがあったわけだけど、だからといって、そうしないではいられなかった自分がいる。きっと、異性装をするだけかGIDまでいっちゃうか、両極端なら分かり易いんですよね。確かに、微妙なスタンスにあたしはいるわけですよね。
usagi3さんのおっしゃる『異性装した自分に理想の異性を投影する』方は、たぶん非常に多いと思います。女装した自分が好きっていう人も多いと思う。いえ、まああたしも好きなわけですけどね。だけど、女になりたいけど現実を考えて、女装する事で精神的なバランスを取ってる人が多いと思うんですよ。積極的に女性化するわけにはいかないってね。
逆にGIDの人ならば、そういう訳にはいかないと思うんです。自分の体に嫌悪感を持って、例えばヒゲが生える事でも鬱になるって言う。例えば男性服を着る事って、あたしだってイヤなんですね。できれば着たくないと思う。ただ、GIDの人だと男装してる・・・って意識を持つと言うんです。
あたしは薬を始めないわけにはいかなかった。男のまま死んでいくのは許せなかった。だけど、そこまでなんですよ。イヤでイヤで仕方ないけど、男に生まれちゃったんだもん。コウモリみたいにどっちつかずで、女装者からもGIDの人からも否定されそうだけど、重さを考えるとGIDよりは女装者に近いと思ってるんです。・・・なんか、うまく返事書けてないな。ズレちゃってるようなら言ってくださいね。
悩む・・・というか、持て余しちゃってる思いってまだあるし、『今』考えてる事が将来はまた変わっていくかもしれない。だけど『自己肯定』『薬』って大山ふたつ越えられたから、だんだん平坦に向かっていくと思うんですよね。・・・って、甘いかなあ?、あたし。

パートナーと続いていないんだから、羨ましいのかどうなのか。正直『こんな苦しい思いをするくらいなら、知らない方が良かった』って思った事もある。だけど、うん、ありがたいですよね。こんなあたしを愛してくれて。まあ『ありがと』って言えるほど、悟れはしないんですけどね。

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