かけがえのないあたしの一日

急な方向転換で 駐車場に入れたのは
まだどこかに行きたいって 拗ねたように言ったから?
だってこのまま送られて あなたは帰るつもりでしょ?
そんなあたしのわがままを 笑って許してくれている

空港が見える公園を 二人で並んで歩いてる
咲いてる花も広場も 飛行機もモニュメントも
二人で見るから意味がある あなたといるから価値がある
たぶん一人で来たのなら あたしは時間を潰せない

小さな飛行機ばかり見飽きた頃に 
滑走路いっぱいに 旅客機が降りてきた


売店でジュースを買って 芝生に座ってひと休み
ビールがいいってあなたは いつも飲む事ばかりよね
あんなに大きな車は あたしは動かせませんよ
あなたは寝れば平気って あたしの膝枕の上

飛び立つのを見たいなって 眠たそうな声がしてる 
いいよ起こしてあげるから 昨日もお疲れだもんね
エッチしようとする手を ピシャッて払ったあとには
海もいいねって言っても もう全然届いてない

だけど かけがえのないあなたの寝顔を
あたしはのぞき込んで 気持ちが満たされてる


ふいにプロペラが回って 滑走路を動き始める
慌てて起こすとあなたは ぼんやりした目で起きてきて
そおっと肩を寄せてくる あたしは素直に甘えてる
フワッと浮かぶ飛行機を 同じ角度で見つめてる

今日も泊まっていきなって あたしのいつものセリフに
明日は早いからなって あなたもいつものセリフか
週末かなってあなた 絶対だよってあたし
ハッキリ言わないあなたに ずっと寄り添っているあたし

だけど かけがえのないあたしの一日
きっとどんな事にも 代える事はできない
そんな かけがえのないあたしの一日
なくしてしまったなら あたしは生きていけない

posted by 進藤むつみ on Summer, 2005 in

comments (4)

  『今日は泊まっていきな』っていう『あたし』のせりふに違和感ではない不思議な感覚。  『泊まっていけば?』ではないところに二人の関係のユニークさが見えます。  わしはこっちの方が好きですね。  小さじ一杯ほどの『謎』の匂い。  いろんな物語が見えてきます。

>usagi3さん♪
思えば、作った本人にはそれほどの意識がないんです。『いいよ起こしてあげるから』『今日も泊まっていきな』『絶対だよ』・・・。このへんの言葉って、このシチュエーションで『進藤むつみ』なら何て言うか・・・。そう考えた時、自然に出てきた言葉なんです。例えば今作ったとしても・・・、やっぱりこれになるような気がしますね。ユニーク・・・でしょうか?(笑)。
ただ、作っているうち物語が全然変わっちゃった詩で、もしかすると登場人物が付いていけてないかもしれません。

ちょっとショックな事が昨日の夕方に起って、今になって読みました(汗)

この風景は普通に見ると
「平和でなにより!」と眺めてしまうシチュエーションなので
思わず「ほのぼの」だったりします♪
詩の中の言葉遣いも目線も表現もの〜んびり♪ 眺めてました♪♪
変わり者の私(笑)

>fudabaさん♪
大丈夫ですか?。コメントもらえるってのは、大丈夫なのでしょうか。ショックじゃなくても、忙しい時でもうちなんかは無視しちゃってくださいね。

この詩だと、ドキドキする事はなかったと思います。色んな人が色んな言い方をして、色んな恋愛や色んな人生を送って、そんななか飛行機を眺めてれば、やっぱり『ほのぼの』だなって思うんです。『の〜んびり♪』と眺めて楽しんでもらえたら、あたしとしては嬉しいです。・・・変わり者なんかじゃありませんよ♪。

post a comment